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牛女畜奴栗原香澄#11 『生きること』

『生きること』

十分な水分を補給し
 乳房の女牛乳(めうしぢち)生産の欲求を満たした頃、
  日はとっぷりと更けました。
   香澄は小川の畔の草叢に伏せました。
 
その夜は朝からのトラックでの運搬、
 市場前での小便大便検査、
   競売で売れ残ってしまい、
    その挙句の逃走劇・・・、
      香澄の身体も心も疲れ果ててしまっていました。

香澄はこれからのことをどうしようかと考える暇も無く、
 深い眠りに誘(いざな)われたのでした。

朝が来ました。
 香澄はまた急激な咽喉の渇きに目を覚ましました。
  そして夜の内にまた女牛乳を蓄え続けた乳房は
    パンパンに張っていました。

香澄は自分自身の手で以って
 女牛乳を搾り出し小川に流しました。
  絞りきった乳房と乳首はその腫れを引き、
   落ち着きを戻しました。

そして口を小川に付けて
 ごくごくと胃をいっぱいに水分補給をしました。
  やがて乳房がまたジュゥゥ・・・と音を立てて
    その水分を吸収し始めました。

キュルルル・・・・
 香澄のお腹が音を立てました。
   思えば、朝、哀玩農場を出る時に食べたのみで
    それから水以外、全く口にしていないのです。
      香澄は辺りを見回しました。

小川の川原にはそこかしこに草が生えていました。

”食べられるかな・・・?” 

香澄はこの3ヶ月、
 農場主から与えられている『香りのいい草』しか食べていません。
  良い女牛乳を作り出す為です。

四つん這いになり
 草叢に頭を付け草の匂いを嗅ぎました。
  
”あっ・・・この匂い・・・!”

香澄は草叢の中に農場主が与えてくれていた
『香りのいい草』を見出すことが出来ました。

ザクッ・・・
 ショリショリショリ・・・・

「も・・・もぉぉぉっ!(お・・おいしい・・・!)」

朝露に濡れてやや冷たくなっている『香りのいい草』は
 香り以上に香澄の食欲をよりそそる味を呈していました。
  思わず香澄は嘶いてしまいました。
   香澄はそんなことも気にせずにその草を貪りました。

”ああ・・・美味しかった・・・。”

香澄は満足げに顔を起こしました。
 朝日は既にやや見上げる位置まで昇ってきていました。
  食欲に任せ路傍の草で胃を満たした自分がいました。
   水鏡に映った自分の姿を見て、
    昨日は自ら命を絶とうとも考えた自分がいました。

家畜
ikiru



けれど香澄は今、
  朝日を見上げて再び生きようと考えました。
    身体を改造されたとしても生きてさえすれば
      同じ様に元に戻る改造も出来る可能性もあります。

青い空に暖かく輝く朝日を見て香澄は
 ”生きるだけ生きてやる・・・・”
   そう心に誓ったのでした。

牛女畜奴 栗原香澄#10 「水鏡」

女牛畜奴 栗原香澄

『水鏡』

農場主は香澄が伏せている叢の隣を、

「こらぁっ・・・香澄ッ、出てこいっ!!」

大きな声で怒鳴りながら通り過ぎてゆきます。

ガサッ、ガサッ、ガサッ・・・・
直ぐ耳元に農場主の枯れ草を踏む音が響きます。
農場主は香澄が林の奥に入り込んだと見て
足早に奥へ奥へと進んでいきました。
ですが1分ほどもするとまた草を踏む荒っぽい足音が戻ってきました。

「くそっ・・・ここじゃねえのか・・・?
 いねぇんじゃ、金が貰えねぇじゃねぇかよ・・・。」

恐らく林の置くへ続く獣道の茂った草や枝の状態から
香澄が入り込んだ形跡が見つからなかったのでしょう、
ぶつぶつと呟きながら歩いてきます。

「くそっ!どこ行きやがったんだっ!?」

香澄が身を伏せる1mほど手前で足を止め、
農場主が辺りを探りました。

”ああぁ・・助けて・・・お父さん、お母さん・・・”

香澄は叢に伏せたがくがくと震える頭と身体を
息を殺して必死に押さえつけました。

「ちくしょうっ!」

ガサッ、ガサッ、ガサッ・・・・

香澄は余りにも林の入り口近くに伏せた所為か、
農場主もまさか足元に香澄がいるとは思わず、
やがて捨て台詞を吐いて足音を遠ざけていきました。

ブルルルン・・・・
ガガガガガ・・・・

トラックのエンジンが掛けられ、
また砂利道の石を跳ね飛ばしながら走り過ぎていきました。
香澄は用心をして暫く身を伏せたまま辺りの静寂を待ちました。

伏せた頭を僅かに傾け、空を見上げれば、
夕陽に染まった鰯雲が綺麗に並んでゆっくりと動いていきます。
まるでさっきまでの事や、自分が女牛に変貌を遂げてしまったことなど
嘘のように思えてきます。
けれど、その茜色の空に自らの手を翳せば
白と黒に染められた刺青が目に入り、
現実を思い知らされます。

”・・・・・うぅ。”

再び、頭を叢に押し付け、自らの不幸を嘆きました。
暫くはそのまま、身体を伏せていましたが、
いつまでもこうしているわけには行きません。
農場主が引き返してくることも考えられます。

”も・・・もう、いいかな・・・。”

恐る恐る香澄は身を起こしました。

”何か・・・飲む物・・・・”

身体中の水分が干上がっているのが手足の痺れでわかりました。
それでも、まだ乳房は身体中の水分を吸い取ろうと
細かな蠕動をしています。

”い、行かなきゃ・・・、このままじゃ・・・。”

恐らく、脱水症状を起こし倒れてしまいます。

「はぁ、はぁ、はぁ、はぁ・・・・。」

香澄は弱った身体を奮い起こし、
林がある以上、奥に行けば小川か水源があるだろうと
よろめく足で歩み始めました。
枯れ木が素肌を齧り苛みます。
牛の刺青をされているとはいえ、全裸に変わりはないのです。
小枝の嗜虐の中、10分ほど歩いた後、視界が開けました。

”ああぁっ・・・!”

そこには思わず香澄を喜ばせる景色が広がっていました。
小川が流れていたのです。

バシャシャシャシャ・・・・・・・

香澄は咽喉の渇きを癒す為、川の中に転がり込むように駆けいりました。
そして直ぐに四つん這いになりがぶがぶと水を飲み始めたのでした。

ごくっごくっごくっごくっごくっごくっ・・・
ごきゅ、ごきゅ、ごきゅ、ごくっ・・ぷはっ・・・ごきゅ・・・ごきゅ・・・・・

呼吸をするのも惜しいように水を飲み込んでいき、
見る見るうちに香澄の胃のあたりが外観でも膨らんできているのが判ります。

ごくっごくっごくっごくっごくっごくっ・・・
ごきゅ、ごきゅ、ごきゅ、ごくっ・・ぷはっ・・・ごきゅ・・・ごきゅ・・・・・

川の水を一心不乱に呑み続けるのですが、
やがて飲む量に比例していた胃の膨らみ方が急に納まり始めました。

ジュジュジュ・・・・・・・・

細かな水音が聞こえてきました。
乳房が水分を吸い上げ始めたのです。
香澄の乳房は徐々に膨れ上がっていきます。

”あぁぁぁぁぁ・・・”

乳房が次々と女牛乳を造り出し、
乳腺や細かな毛細管をこそばゆく通り抜ける感覚を
水を飲み続けながら香澄は感じました。

ゴクゴクゴク・・・ぷはぁ・・・・・”

咽喉の渇きが癒され、満足のいくまで水分をとって
香澄は膝立ちに立ち上がろうとしました。

”あうっ・・・・”

バシャァァン・・・!

乳房が重くて前に倒れこんでしまったのです。
川の中でもがき、慌てて顔をあげました。

「はぁっ、はぁっ、はぁっ・・・・。」

香澄は今度はバランスを崩さないように
身体をゆっくりと引き起こしました。
更に膨れ上がっていくバスケットボールの様な自分の乳房が目に入ります。
乳房は我が意を得たりとばかり女牛乳を作り続け、
既に香澄はその膨満感から痛みを感じ始めています。
まるで別の生き物のようにびくびくと蠕動する乳房を見下ろすと
その先の水面に映る自分の姿が垣間見えました。
さっきまでは咽喉の渇きに無我夢中でその水鏡に気が付かなかったのです。
香澄は今まで恐ろしくて自分の姿を敢えて見ないようにしてきました。
しかし改めてみる、さざ波が収まったそこに映った自分の姿は、
昔、妖怪図鑑で見たような異様な姿の牛女です。

”ああああぁぁぁ・・・!”
「ううもおぉぉぉっっ・・・・!」

泣き叫んだつもりが牛の啼き声になって林に響きました。
せめて思い切り泣ければとも思うですが、
未だに乳房に水分を吸い取られ、涙さえ毀れてきません。

”ああぁぁ・・・”
「うももぉぉぉぉ・・・っ。」

泣き続けてもただ牛の鳴き声に変わり、
人間からかけ離れた家畜に変貌してしまったと思い知らされ
香澄を嘆かせます。

”ううぅぅ・・・”

嘆いている間にも乳房は更に膨れ続け、
既に疝痛となって香澄を苦しめ始めています。
いつもは農場主がしていた搾乳作業を自分でしなければなりません。
見よう見まねで自分の乳首をつまんで見ました。

ビシュー・・・・ッ

溜まりに溜まった女牛乳は、高く噴水のように吹き上がりました。

”ああぁぁぁ・・・・”

夕陽にきらめく白い放物線に香澄は一瞬目を奪われ、
同時に射乳の快感に酔いしれました。

「も・・・んもほぉぉぉ・・・。」

射乳の悦びでまさに牝牛の悶え声をあげる香澄に
漸く涙の雫が戻ってきたのでした。
今までのこと、これからのこと、悲しい現実から逃避するように
香澄は自らの乳首を引き伸ばしては縮め、引き伸ばしては縮め、
愉悦の表情を浮かべながら
あるだけの女牛乳の放物線を作り続けたのでした。

家畜
水鏡


女牛畜奴 栗原香澄#9「捜索」

女牛畜奴 栗原香澄

『捜索』

幸いにも市場の外にも人の姿はありませんでした。
まだ、香澄を回収に来るはずの業者の車も見当たりません。
辺りの様子を伺いながら哀玩農場のトラックが一台残ったきりの
野辺地を駆け抜けていきます。

「つ・・・つかまえてくれぇっ・・・!」

市場の中から農場主の声が聞こえてきました。
香澄が振り返り見ると
どうやら、腰か足を悪くしたようで市場の出入り口で
這いながら叫んでいる農場主の姿が見えました。
農場主には気の毒なことをしましたが、
香澄にとっては命が掛かっているのです。
捕まってしまったら食肉なる道しか残っていないのです。

”ご・・・ごめんなさい・・・!”

自分をこんな姿にした農場主ではありましたが、
生来の香澄の優しさから身体に支障を期たさせたことに
香澄は心で詫びました。
けれども恐らく農場主は直ぐにトラックに乗って追いかけてくるでしょう。
香澄は重い乳房と鎖を引き摺り野路を駆け続けました。

”このままじゃ、追いつかれちゃう・・・。”

このまま一本道の野路を走り続ければやがてトラックに乗った
農場主に追いつかれてしまいます。
香澄が目指したのは500mほど先にある林でした。
当然そこまでは一面の野原でホルスタイン調に刺青された香澄の姿は
目立ち浮き上がり隠す術はありません。

「はぁっ、はぁっ、はぁっ、はぁっ・・・・。」

身軽だった女子大生の頃の身体ではありません。
今もこうしている間に大きく膨れ上がった乳房は女牛乳(めうしぢち)を
分泌し続け、乳房を重くしていきます。
上下左右にゆさゆさと揺れる乳房は身体のバランスを悪くし、
乳房の根元は千切れそうに痛み始めます。
香澄は乳房を両手で支えて走り続けました。

”あ・・あと、もう少し・・・”

林の入り口まであと200mほどの距離になりました。

「はっ、はっ、はっ、はっ・・・・。」

咽喉が渇いてひりひりと痛みました。
考えてみれば市場に入る前に
小便検査で自分の尿を飲んでから3時間が経過しています。

”の・・・咽喉、乾いたよぉ・・・・・・”

女牛の水分摂取量は並大抵ではありません。
一日20リットル以上もの女牛乳を作り出す為に
大量の水分が必要となります。
日中は2時間おきに2リットルの水の摂取が日課となっています。
そして昼夜問わず4時間おきに搾乳しないと
乳房が腫れ上がり激痛を伴うようになります。
夜間の水分はその4時間おきの搾乳の際に3リットルの水分を採り、
また翌朝3リットルの水分を以って補います。
女牛の身体を維持管理するためのごく基本的なことが
この水分補給と搾乳です。
独り身の哀玩農場の農場主が自分で香澄を飼うことを諦めた理由が
そこにありました。

”も・・・もう、走れない・・・・”

距離はあと50m程になったのですが、
香澄は足が前に進まなくなっていました。
咽喉の渇きが癒せればと思うのですが、
周りにある水分といえば自分の乳首から滴っている
女牛乳(めうしぢち)しかありません。
けれども香澄はそれを口にすることは出来ても
喉を通すことは出来ません。
なぜならば栄養価も有り美味な女牛乳を
女牛に飲ませない為に女牛改造過程のなかにある工夫が
されているからです。
その工夫とは女牛が女牛乳を飲むと
アレルギー現象をひき起こし、
四肢に激痛が伴う痙攣を起こさせるようになっているのです。

一度、香澄自身、農場主が水分補給を怠った為に
どうしようもない咽喉の渇きを癒す為に
一口だけ自身の女牛乳を口にしました。
我が乳ながらその芳醇な味は今も忘れられません。
忠告も忘れ、自分の乳首を5口6口と吸い上げたその直後でした。
説明を受けた以上の痛み、四肢の関節に火箸を押し付けられた痛みと
共に痙攣が起きたのでした。

”だめ・・・、
 これを呑んだら動けなくなっちゃう・・・。"

香澄はよろよろと歩きながら、
自分の乳首の先端からぽとぽとと溢れ出て来ている
女牛乳を恨めしく見つめました。
今、この時も女牛乳生産を主目的とした女牛の生態は、
身体中の水分を乳房に集め女牛乳を作り出そうとしています。
恐らく大腸内の便の水分はもとより、
膀胱に残った尿も吸い取り始めているはずです。
それが昂じると毒素が身体に回り重症な尿毒症を引き起こし、
女牛乳にも品質上の欠陥が生じます。
市場に入る前に香澄が羞恥に震えながら人前で行った
毎日の小便検査、大便検査はそれらの健康管理と
女牛乳の品質維持の為に必要不可欠な検査となっているのです。
香澄はよろける足を引き摺りながら市場の方を見ました。

”あ・・・あぁ・・・”

哀玩農場のトラックが動き始めたのが遠目にも見えました。

”い・・・行かなくちゃ・・・!”

トラックに見つからないように早く林の中に
逃げ込まなければなりません。

「はぁっ、はぁっ、はぁっ、はぁっ・・・・!」

再び、香澄はよろけつつも林を目指しました。

「あうぅぅっ・・・!」

ドサササ・・・・・!

林の入り口で足をもつらせ雑木林の中に倒れこみました。

”はぁ、はぁ、も・・もう、だめ・・・、動けない・・・っ”

雑木林に倒れこんだまま、香澄はただ呼吸をするだけで
身体を動かすことが出来ませんでした。

ガガガガ・・・・

砂利道を猛スピードでやってくるトラックの音が近づいてきました。

”はぁっ・・はぁっ・・・だ、駄目・・・見つかっちゃうっ・・・!”

香澄は最後の力を振り絞り、
雑木林の枯れ草の陰に潜り込みました。

ガガガガ・・・・キィッ・・・・!

案の定、トラックが林の入り口で止まりました。
農場主も香澄が林の中に逃げ込んだのと思ったのでしょう。

キィ・・バタンッ・・・!

トラックのドアが開けられ、農場主が降りた気配がしました。

ザッザッザッ・・・・

農場主がこちらに向かってくる足音が聞こえました。

”お・・・お願い・・・気が付かないで・・・!”

香澄は身体中に枯枝による傷を作り、
身を縮ませながらそう祈り続けたのでした。

逃亡
onnnausi


牛女畜奴 栗原香澄#8 「逃亡・・」

牛女畜奴栗原香澄
家畜
toubou


『逃亡・・』

「さて、見事に売れ残っちまったな・・・。」

哀玩農場の農場主が市場に戻ってきた時には
もう他の女牛は1頭もおらず、
市場関係者が片付けにそそくさと足早に歩いているだけでした。
その中で香澄だけが一頭、台の上に乗っているのでした。

「・・・もぉぉぉ・・・っ」

かすれた声で香澄はうつろな目をして啼いていました。
それが悲しみを言葉にしているものなのか、
牛の鳴き声なのか既に香澄にも
分からなくなっていました。
哀玩農場の農場主は香澄の感情など
気に留めることもなく
香澄の股間から伸びる鎖から錘を取り外し
そのまま引っ張りました。

香澄は股間を引っ張られる痛みに朦朧とした意識から
やや正気を取り戻し、
そのまま引き摺られ台を降りました。

「も・・・ももぉ・・・っ。」
”ど・・・どこへいくの・・・?”

言葉でそう述べているはずなのですが、
香澄の耳にも聞こえてくるのは
牛の鳴き声だけです。
哀玩農場の農場主はお構い無しに股間の鎖を引っ張っていき、
市場の外に連れて行こうとしました。

”い・・・いやっ、わ・・私、
 食肉なんかに・・・死にたくないっ・・・!”

ドンッ!

「う・・・うわっ!」

香澄は前を歩く農場主の背中に体当たりしました。
農場主は背中を不意に思い切り押された為に、
前のめりに倒れこみました。

ジャララ・・・

「あ・・・ま・・・待てっ!」

農場主が手元から香澄の女性器を穿った環を繋ぎとめる鎖を
離した瞬間、香澄は走り出しました。

”い・・・いやぁっっ!”

とにかく逃げなければ自分は食肉にされてしまう恐怖に駆られ、
香澄は後先を考えず逃亡を図ったのです。
市場の出入り口には既に誰も居なくなっていました。

”お父さんっ!お母さんっ!
 ・・・た、助けてっ・・・!

牛女にされてから幾度と無く思い浮かんだ
両親の顔をまた思い浮かべ、助けを求めました。
走る度に大きく肥大した乳房が上下にゆさゆさと揺れ
尻に付けられた尻尾が足に当たります。
否が応にも自分の変わり果てた姿を感じました。
心配してくれていた両親を蔑ろにして
飛び出してきた自分の愚かしさを悔やみ、
両親へ詫びる気持ちも今日だけではありません。
けれど、今はそれ所ではなく、
とにかく生きて逃げ延びなければなりません。

香澄はそれだけを思い、
コンクリートの壁が崩れかけた市場の出入り口を
走り抜けたのでした。

女牛畜奴 栗原香澄#6 『慟哭』

牛女畜度 栗原香澄
奴隷市場urenokori


「慟哭」

受付の手続きが終わり、二人と二頭の女牛は市場に入りました。
コンクリートの壁に囲まれたおおよそ50m四方の広さの市場には、
香澄達と同じようにホルスタイン調の模様の刺青がされた女牛達が
30頭余りいました。
その周りにそれぞれの女牛の農場主や、
バイヤー達、市場関係者が併せており100人余りがそこにいました。
そういっている間にもバイヤー達は続々と増えつつあります。

「あ、あそこだ・・・。」

農場主は香澄に言い聞かせるとも独り言とも取れる言葉を発して
一つのブースに向かいました。
ブースと言っても錆びた大きな机に
”哀願農場さん”と書かれた紙が貼られているだけです。
受付で申請して市場内の係員が書き入れたのでしょう。
農場名の下には¥3,200,000と記載されていました。

『320万円・・・それが私の値段・・・。』

人一人、320万円、
香澄にはそれが何とも中途半端な値段に受け取れました。
人身売買の値段がその程度なのか、
牛の相場としてなのか何とも言いようのない値段です。
ただそれよりも不思議に思ったのは
他の女牛の値段を見て気付いたのですが、
不思香澄のそれは女牛市場でも最安値だったことでした。

「じゃ、頑張ろうぜ、哀玩さん・・・・ふふふ・・」

由紀たちのブースは香澄達の隣でした。
由紀の値段は400万円です。
何故、由紀がその値段で自分がその値段なのかが分かりませんでしたが、
香澄の価値が低いことについて
哀玩農場の農場主も由紀の農場主も
何故か別段不思議に思っていないことを香澄は感じ取りました。
哀玩農場の農場主は由紀の農場主の言葉が聞こえない振りをして
香澄に話しかけました。

「ほら、四つん這いになって登れ・・・。」

「うんもぉ・・・」

少し怪訝に思いつつも香澄は返事をしてテーブルの上に乗りました。
そうしている間に、農場主は香澄の股間から伸びる鎖を
テーブルの下にある大きな鉄球に繋げました。
女牛が暴れたり逃亡をしたりして市場内での騒ぎを防ぐ為の
措置としてそうルール付けられているのです。

「ほら、頑張って売り込めよっ!」

バシッ!

「ぅんもぉ!」

お尻を平手で叩かれ、
香澄は農場主に大きな声で返事をしました。

・・・バシッ!
「うんもぉ・・・!」

隣のブースでも由紀が机の上で同じように四つん這い状態で
プリンとした可愛いお尻を叩かれ鳴き声をあげました。
白地に茶色の斑模様に刺青をされた身体には少女特有のしなやかさがあり、
西日になりつつある陽光によく映えます。
由紀は香澄の視線に気付き、はにかみながら微笑み、
香澄に向かって頭を下げました。

『・・・可愛い、良かった元気になって・・・』

顔色がもどった由紀をみて香澄はそう思いました。
香澄も微笑みながら頭を下げました。

カランッ!カランッ!カランッ!

市場の中央で鐘が打ち鳴らされる音が響きました。
市が開催されました。
遠めで物色をしていた買い手が思い思いの女牛のブースに群がります。
香澄の所にも開催と同時に数人の男の買い手達が訪れました。
買い手達は香澄の乳房は勿論、
女性器、肛門、目を広げて眼球の色や、
口を開けさせて舌の色を乱暴に扱い確認していきます。

「さぁっ、17歳の処女の女牛だっ!買ってくれいっ!」

哀願農場の農場主の声が響きました。

『え・・・、17歳・・・?』

一瞬疑問に思いました。
処女はともかく、17歳という年齢は無理があることを香澄は感じました。
しかしそれを香澄が否定することは出来ません。
農場主の思惑があるのであろう事を予測し調子を合わせて嘶きました。

「うんもぉぉっ・・・!」

刺青、そして薬や手術によってホルスタインに模された
女牛の姿に改造されながらも生きてさえいれば、
いつか救われることがあると信じて香澄は張り切って鳴きました。
まずはここで買って貰わなければ香澄に明日はないのです。
目一杯愛想を振りまきながらお尻を持ち上げ、
尻尾も左右に大きく振りました。

「さあ、飲んでくれぃ!」

哀玩農場の農場主もさっきまでの厳しい顔とはよそに
満面に笑みを浮かべて、
女牛乳(めうしぢち)で張った香澄の乳房から
伸びる肥大した乳首を握り締めます。

「もぅ・・・。」

敏感な部分を握り締められ香澄が喘ぎを漏らします。
大きく肥大した乳首の感度はむき出しの性感帯が
それに正比例して大きくなり、
より感じやすくなっています。
その下にコップを宛がい、農場主は乳首を引き絞ります。

ジュッ・・・ジュ、ジューッ・・・・・・

コップの底を濃厚な女牛乳(めうしぢち)が叩きます。

「も・・・ももうぅ・・・。」

痛いくらいに張っていた乳房を揉みしだかれて、
いっぱいに引き伸ばされた乳首から女牛乳が迸る快感は
何ともいえる物ではありません。
もしかしたら男性の射精はこんな感じなのかもしれないと
香澄は密かに思いながら、身体がよじれるのを必死に我慢します。

農場主はそのコップをバイヤーたちに次々と渡していきます。
その噴出の勢いは衰えることは無くあたかも無尽蔵であるかのようです。

『ああぁ・・・気持ちいいっ・・・
 出る・・・出る・・・出るぅぅぅ・・・。』

「も・・・もおぉぉっ・・・」

香澄は甘美な気持ちに知らず知らずに女牛のあえぎ声をあげます。
香澄の搾乳の快感は続き、
尻尾の下の秘園は止め処も無く愛液を滴らせます。

「どうだい・・・、
 いい量だろっ!?・・・
  濃いだろっ!?・・・
  美味いだろっ!?」

農場主は嬉々として香澄の女牛乳を搾り出してはコップに満たし、
バイヤーに渡していきます。
女牛の乳は牛乳よりも濃厚芳醇で高価で富裕家に購入されます。
おおよそ1リットル1千円~5千円、
中には1リットル数万円で取引される優秀な女牛もいます。

「ごくん・・ごく・・・、うーん、
 いけるな・・・確かにいい味だ、・・・・ただなあ・・・。」

「うーん、歳がな・・・・どう見ても21~22はいってるだろうっ?」

「まぁ、処女膜があるから、そっちはともかく・・・
 なぁ・・・この腰の張り具合と陰毛の生え具合・・・
 17はねぇだろ・・・・。」

「そ・・・、そんなことはねぇよ、
 17ったら17だよ。ほらっ、飲んでみてくれよ、新鮮だろ?」

農場主はそう言いながらまた乳を搾り出し、バイヤー達に分けます。
香澄の肥大した乳首は更に腫れ上がってきているのですが、
香澄は笑顔で愛想を振り撒き搾乳を受けます。

「ああ、判ってるって
 ・・・味はいけることは認めるよ
 ・・・だから、歳がね・・・。」

農場主に迫られて困惑するバイヤーの隣にいた
別のバイヤーが嗤いながら、

「哀玩さん、偽装はいけねぇなぁっ・・・。」

げらげらと昨今のニュースをにぎわす問題に謎掛けて
バイヤーたちが嗤います。

「そ・・そんなことは・・・。」

ばつが悪そうに農場主は香澄の顔を見て

「じゅ、17は17なんだよ・・・。なぁ・・・香澄?」

「う・・ぅんもぉぉ・・・。」

香澄は淋しく農場主を見つめ返して、
愛想を浮かべたまま、そう返事するしかありません。
また別の買い手の一人が農場主に向かって言います。

「まぁ、相場がいま、15~17だからなぁ、
 そう言いたいのは無理もねぇが・・・。
 ・・・でも、信用問題に関わるぜぇ・・・。」

そう言われて香澄は改めて辺りの女牛を見廻しました。
殆どが中肉中背、中には多少太め、
自分よりも容姿が劣る女牛も多数いて、
浅ましいことですが、香澄はつい今しがたまで、
自分が優位であるかとも思っていたのでした。
けれども年齢という観点でもう一度見回すと
確かに自分が抜きん出て年上であることは否めませんでした。

どの女牛も由紀と殆ど変わらない少女の様相だったのです。
哀玩農場の農場主が由紀を始めてみた時の不機嫌な様子と、
自分の値段の意味が、漸く香澄にもこの時はっきり分かったのでした。

「まあ、
 ほんとに17なら、
 320万はまぁ理解できるが、
 なぁ、この尻はなぁ・・・。」

一人のバイヤーが立派に張った香澄の尻を撫ぜながら言いました。
湿った手のそのいやらしい撫で上げかたに香澄は悪寒を覚えましたが、
ここで嫌われたら明日はありません、
張りがあるようにお尻の穴を引き締め尻を硬くしようとする
涙ぐましい努力をしました。
それが判ったらしく、そのバイヤーは、

パシン・・パシン・・・。

「あははは・・・、わかった、わかった・・・若い若い・・・。」

笑いながら、乾いた音を立てて悲しい努力で
硬くしている香澄の尻を叩きます。
けれど、その言葉にある”若い”は嘲笑の響きを醸し出していました。

「わ、わかった、悪い、ほ、本当は、
 ・・・二十歳だっ!どうだ300万!」

「ほんとに、はたちかぁ?」

「ほんとだよっ!」

「なぁっ?」

「ぅ・・・ぅんもぉぉっ!」

農場主の言葉に香澄も大きく頷きます。
ミスキャンバスを取った自分が売れ残ることがないだろうという自信が
ガラガラと音を立てて崩れ去っていくのを感じました。

「まぁ・・・考えておくよ!」

香澄のブースからバイヤーが一人、また一人と背を向け始めました。

「ま・・・待ってくれよ・・・。280万ならどうだ!」

「哀玩さん、知っての通り、 
 金持ちの旦那方が欲しがる女牛乳(めうしぢち)は
 みんな10代~20代前半のものだ・・・。
 25歳以上の女牛乳はどうしても味が変わり、
 需要が無くなってくる。
 10年前ならともかく味覚が肥えた今の市場で、
 22~23の女牛を買えって言ってもなぁ・・・。」

その買い手はほぼ正確に香澄の年齢を言い当てました。
2~3年しか使えない女牛を置いておいても維持管理費も加味した場合、
全く元がとれないことを哀玩農場の農場主も知っていました。

殆どのバイヤー達が次々と香澄に背を向け、
別の女牛のブースに移っていきます。
それでも哀玩農場の農場主は
歩き去るバイヤーの一人の腕にすがりつきました。

「な、な・・・250万なら・・どうだ・・・?」

余りにもしつこい農場主に対してそのバイヤーは

「あんた、大概にしろよ!
 その女牛の原体の入手先と育成期間言えんのか?
 腹に烙印までして、 
 育てるつもりだったのを管理が面倒くさくなって売り払うんだろ?」

「あんた、俺達をだまそうって言うのかい・・・?
 ここは穏便に引き下がった方が特だと思うがな・・・?」

農場主がバイヤーの連れの男性がそう呟きました。
図星を突かれて農場主は何も言えなくなりました。
確かに高価で女牛乳は取引されますが、
良好な乳を出す為には
それなりの施設や飼料が必要で維持管理費も馬鹿にならないのです。

売るべきか飼い育てるか農場主は悩んだのです。
一時は飼う覚悟を決めて烙印までしたのですが、
やはり維持費や管理の困難さで売り払うことに決めたのです。
バイヤーの腕を離し、農場主はうな垂れました。
その様子を隣のブースの由紀の農場主がニヤニヤしながら見ていました。

きっと由紀の農場主はこうなることが予測できていたのでしょう。
由紀のブースも含め、その他のブースは盛況でした。
次々と買い手が決まり、新しい牧場主に女牛達は連れて行かれます。
それに従い、開いているブースも少なくなっていきます。
今残っているブースは売れ残りつつある香澄のブースと
人気があるために競りに時間が掛かっているブースだけです。
隣の由紀のブースもその人気ブースの一つです。

「さぁ・・・ないかぁっ?
 13歳と8ヶ月だっ!乳も良質だ!ほら、飲んでみてくれ!」

『じゅ・・・13歳・・・?!』

その年齢を聞き、香澄は驚きました。
自分よりも10歳近く若いのです。
由紀の農場主は由紀の年齢と育成期間が書かれた
鑑定書をバイヤー達に見て取らせます。
勿論、香澄にはそんなものはありません。

由紀の農場主は得意げに哀玩農場の農場主同様に由紀の乳首を引っ張り、
用意した紙コップに乳を搾り出し買い手たちに廻します。

「おお~・・・。」

恐らく既に何杯も絞られたとも思われるのに
その噴出量は香澄のそれを明らかに凌駕しています。
味も申し分ないのでしょう、買い手たちにどよめきが起きました。

「430万、
 ・・・おっと、450万!・・・!
 そっちの旦那・・500万・・・・!」

見る見るうちに由紀の値段がはね上がっていっています。
由紀が高級女牛になること、
10年以上も良質の女牛乳を搾り出すことが出来ると
バイヤー達は見抜いたのです。
由紀は競りの中、
テーブルの上で四つん這いポーズのままで
けなげに微笑んで買い手に愛想を振り撒いています。
香澄は自分の周りから人が去っていく中、
由紀のその様子を悲しそうに見つめていると
由紀と目が合いました。
由紀は申し訳なさそうに目を伏せたのでした。

「うーん・・・、やっぱ、だめだったかぁ・・・。」

すっかり客がいなくなったブースで
値段を半額の160万円にしたにも関わらず、
全く買い手の付かない香澄を見て農場主は苦笑を漏らしました。

「100万で売れなければ・・・、しょうがねぇか?」

『しょ・・・しょうがないって・・・。』

香澄はそんな言葉で自分の運命を
決めてしまう農場主の顔を睨み返しました。
しかし、農場主は香澄の顔など見ておらず、
また、100万と値段を書き直しています。
食肉市場の下取りは80万円程度なのです。
女牛乳の需要価値がなくなり、
使えなくなった女牛がそうした値段で食肉として取引されるのです。
やはりマニアな富裕家の中で珍味としてもてはやされています。
香澄のように新女牛で売れ残り、
その取引に掛けられる女牛は極稀で、
あるとしても、やはり不正のルートで入った外国女牛や
年齢をごまかした女牛が時折りその扱いを受けるのです。
当の香澄はそれを知る由もありません。
普通は10~12歳程度の女牛の原体を100万円程度で購入し、
女牛への改造費が30万円程度、
定期的な注射薬と飼料代で30万円程度を掛け、
2~3年程度で育て上げ市場に出されます。
平均、360万~460万円程度で取引されます。
一頭辺り200~300万円程度の儲けが女牛の
ブロイラーに入る仕組みです。
大概の女牛農場は毎月1~3頭くらいを市場に出し生計を立てています。

哀玩農場の農場主は香澄が自ら訪れてくれたお陰で
女牛の原体費用を支払わず、
10ヶ月程度で女牛に仕上げた為に
香澄の原価は50万円と掛かっていないのです。
しかし、香澄のように成人女性が1年未満で女牛化された場合、
やはりどこかで欠陥が生じます。
香澄が改造されてから短期間で育成されたことを
見透かされたことも売れ残った一因ともなったのです。
女牛業界の黎明期、やはり成人女性の改造で
急に女牛乳が枯渇したり、味が急変した例も少なくありませんでした。
哀玩農場の農場主が買い手の一人から
入手先と育成期間を問われたのはいわば必然の行為で、
恐らく目の肥えたバイヤー達はそれを香澄たちが出来ないことを
見抜いていたのでした。

「わりぃな、ちょっと、話をしてくらぁっ、
 それまで、がんばれよっ!」

あわよくば、ぼろ儲けを見込んでいた農場主も
妙にさばさばとした様子で香澄に語り掛けました。
農場主は更に90万円まで差し引いた金額に値札を書き直し、
恐らく次の段階の市場、食肉関係者に電話をする為でしょう、
女牛市場の外に携帯電話のボタンを押しながら
頭を掻きながら出ていきました。

「おお~っ・・・」

香澄が哀願農場の農場主の姿を不安げに追っているうちに
隣のブースでどよめきが上がりました。
由紀の競りが終わったのです。
なんと由紀は800万円で落札されたのでした。
由紀の股間から伸びる鎖が鉄球から外され、
新しい飼い主の手に渡されました。
テーブルを降りた、由紀は女性器から伸びる鎖を引っ張られながら
香澄の前を歩いていきました。
香澄は売れ残った自分が惨めで由紀の顔を見ることが出来ませんでした。

「・・・もぉぉ・・・。」

そんな香澄の前で由紀は小さく鳴いて歩みを止めました。

「はん、何だよっ・・・」

新しい飼い主となった若い牧場主は振り向きました。
由紀は香澄の方に視線を向け、
若い牧場主が香澄を見るように促しました。

「・・・何だ・・・?この女牛も買えってか?!」

「・・・うんもぉぉ・・」

可愛らしい声の返事が聞こえ、由紀は香澄に目配せをしました。
香澄もこれが最後とばかりに股間から伸びる鎖につながれた鉄球を
四つん這いのままお尻を突き上げ持ち上げました。
女性器が引きちぎれんばかりの痛みでしたが、
丈夫だと言うことをアピールするべく無理やり笑顔を浮かべました。
恐らくそこまでする女牛はいないでしょう。
けれど・・・・

「ふっ・・、いらねぇっ・・・行くぞ!」

若い牧場主は一瞥しただけで由紀の鎖を引っ張り歩き始めました。

「・・・ぅもぉぉ・・・」

由紀は小さく悲しげな鳴き声をあげ、
香澄のほうに何度も頭を下げながらその後をついて行きました。
市場に残されたのは由紀のブースだけでした。

「ぅんもぉぉっ・・・!」

誰もが市場を後にして行く中、香澄は声をあげました。
けれど、もうその声に香澄を振り返ろうとする人はいません。

『・そ、そんな・・な、何で・・、何で私、
 何の為に・・・何で・・・女牛になったの!?』

香澄の心は錯乱し、女牛の規約を破り、人語で叫びました。

「ああぁぁっ!
 だ、誰か・・誰か、私を買ってぇぇぇっ!
 買ってくださいぃっ!!」

けれど、どうしたことでしょう、約半年ぶりに発する人語のはずが
当の香澄の耳にも、

「んあぁ、もおおおっ、んぁっ、んぁっもぉぉぉっ・・・」

と牛の鳴き声しか聞こえなくなっているのに気が付きました。
香澄は知らなかったのですが、外科手術の後、
毎日20リットルもの女牛乳を生産する女牛への
変体を遂げる為に投与される薬品は、
遺伝子レベルから乳腺を異常発達させる反面、
声帯を異常に退化させる副作用があったのです。

機能が鈍化した声帯は言葉を話せば、
小さな洞窟を空気が抜け出るような音しか出せれなくなり、
それはちょうど牛の鳴き声のようになるのです。
それを知らない香澄は人語が喋れなくなってしまったのは、
喋ると厳罰を与えられる為に半年以上喋らなかった為だと思い、
必死に人語で叫ぶ努力をしました。

「んんももぉぉぉ・・・
 ぅんもぉぉっ・・・・・!!」

けれども、夕闇迫り、
市場関係者の片付けも殆ど終わった市場に響くのは
悲しげな女牛の断末魔とも言うべき慟哭だけだったのでした。

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