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『戸惑うアスリート娘』

『戸惑うアスリート娘』

”な・・なんてこと、
  なんてこと・・・なんてことをっ!”

絶望と怒り、
悔しさと恥ずかしさに、
美玖の心は掻き毟られ
無意識にに由美の制服の襟首を掴んでいた。

”きゃっ・・んぐぅっ・・・!”

怒りに任せて
彼女の身体を持ち上げていた。

「よ・・よくも・・・
  よくも、ううぅ・・・。」

自らの性癖が招いた過ちではあった。
深夜の部室徘徊は確かに良いことではない。

唯、匂いを嗅がせて貰っていただけで
汚したり、場所を乱したり、
増してや盗みを働いたわけではない。

知られてはならないのだから、
それは密かに
誰にも気付かれないように・・・。

”なのに・・・なのに・・・”

横断歩道で突き飛ばしてしまった
下級生の泣き顔が思い浮かんだ・・・。

「うううぅぅぅっ!!」

美玖は低いこもった声をあげて
由美の襟首を掴んだ右拳に力を込めていた。

「く・・くるしいっ・・・。」

由美は息を停められる
その苦しさに喘ぎ声をあげた。

「よっ・・・
  よくも・・・
   よくもおおぉっ!」

気付かぬうち、
爪が手のひらに食い込むほどに
左手に握りこぶしを作っていた。

溢れ出でる怒り

「ま・・待って!
  待ちなさいよっ!」

圭子が駆け寄り
美玖の腕にしがみついた。

ドンッ!

美玖は圭子のその行動を予測していたように
右ひじに体重を乗せて突き放した。

ドサァツ!

並みの男子生徒より
身体能力も体格も勝る美玖に体当たりされれば、
15歳の当たり前の少女はひとたまりも無い。
土ぼこりを立てて投げ出された。

「ゆ・・赦せない・・・
  赦せないぃぃっ・・・。」

美玖の瞳は涙ぐんでいた。

もう自分の人生は終わった、
一枚や二枚ではない、
アイコラをされたでは
とても通用しない枚数である。
そして動画さえも・・・。

”わ・・私、
 そ、そんな悪いことをしてたの・・・?”

「ねぇっ・・・!
  に・・匂いを嗅いでいただけなのにっ!!
   そ・・そんなにっ・・・!?」

周りに憚ることなく
美玖は頭上の由美に叫んでいた。

「わ・・私の・・
  人生・・もうっ・・あああっ!」

悲鳴のような叫び声をあげて
美玖は懇親の力を込めて左拳を
由美の頬に打ち出そうとした。

「ひ・・一人だけよっ・・・!」

地面に尻餅をついている
圭子が叫んだ。

「え・・・?」

拳を握り締めたまま、
美玖は圭子の次の声を伺った。

「・・一人だけに送信しただけっ!
 まだ撒き散らしたわけじゃないわ・・・。」

圭子はそう呟くと、
美玖が由美を殴るのを停めたことを見届けながら
ゆっくりとスカートについた土を払い、
立ち上がった。

「ど・・どういう意味・・・?」

美玖は訝しげに圭子に尋ねた。

バタバタバタバタ・・・・

「は・・は・な・し・な・さ・・いよっ!」

足をばたつかせ、由美が喘いだ。

ドサッ・・・。

美玖は右手の力を緩め、
由美を解放した。

突然、襟首を空中で開放された由美は
足をばたつかせていたせいで
その場に尻餅をついた。

しかし、

「げほっ・・げほっ・・げほっ・・
  はぁはぁはぁはぁはぁ・・・。」

尻餅の痛さよりも
急に呼吸を取り戻すことができた肺を
噎せながら整えることに囚われていた。

由美の呼吸が整い、
立ち上がるのを待ち美玖は尋ねた。

「あ・・あの・・、
 ひ・・ひとりだけって・・・?」

戸惑うアスリート娘


ばら撒かれていないとする
圭子の言葉の意味、
ひとりだけという意味、
美玖は戸惑うのだった。


^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^

あとがき

そうそう片腕だけで高1の女の子を
持ち上げられる女の子は居ないと思う。

今日はお花見にGo!

ふぃが





『破約の報い』

『破約の報い』

階段を登りきれば、
美玖の通う高校は目の前だった。

「はぁっ、はぁっ、はあっ、はあっ・・・!」

バレー部の
トレーニングでも使われる心臓破りの階段を
いつもに勝る勢いで登りきった美玖は
チラッと腕時計を見つめた。

「あぁっ、もうっ・・あぁっだめ・・・!」

残された時間は既に30秒を切っており、
残された距離は校門をくぐっても
東校舎の裏までは
まだ200m以上が残されている。

”撒かれちゃうッ
  ああ・・・私の・・・
   私の恥ずかしい写真っ・・・!”

校門の前の歩行者信号は
点滅を始めていたが、
美玖は痙攣しかけている太腿を両手で叩いた。

気合を込めて横断歩道を
駆け抜けようとしたその時だった。

バサァッ!

「きゃあっ・・・!」

「あっ・・ご、ごめんなさいっ!」

巻き込まれる被害者

横断歩道を横切りながら
美玖は下級生らしい女子生徒にぶつかり、
彼女の鞄は勢いよくアスファルトの道路に
叩きつけられた。

バササッ・・・・

同時に鞄の中身の教科書やペン、
全てが横断歩道の上に散らばった。

「ああぁっ・・・。」

歩行者信号は既に赤になり、
女子生徒は嘆きの声を漏らしながら
それを拾い集めようとしたが、

パーッ!
バーパパパパッ!

歩行者信号は赤になり
車のクラクションが鳴り響いた。

「ご、ごめんなさいっ・・・!」

車に向かって謝る
女子生徒の悲壮な声に一旦はそのまま走り去ろう
美玖の足を留めた。

ピーッ!
バーパパパパッ!

「ばかやろうっ!なにやってんだっ!」

運転手の怒声に
更に下級生は慌て、
その瞳に涙が浮かんでいることを認めると

”ああ、だめ、ほっとけない・・・。”

女子生徒のもとに
駆け戻ろうと踵を返した美玖の目に
周りの生徒や人々が先に駆け寄る姿が見えた。

その光景に美玖は
一先ずの安心を覚え、
再び自らの危機を優先させることにしたのだった。

「ご、ごめんねっ・・
  急ぐからっ・・・!」

散乱した教科書や学用品は
ほとんどが拾い集められて、
女子生徒に手渡されていたが、
美玖のその声は周囲の人々に反感を買っていた。

「ひでー・・・!」

「何・・・あれ・・・。」

「何様のつもりなの・・・。」

走り去る美玖の背中に
非難が浴びせられた。

普段は心優しい彼女である、
自らの行為はそれを被っても致し方の無いことを
甘んじて受けた。

”ああ・・ご・・ごめんなさいっ!
 でも、でも・・”

心で謝っても、
それは人々には届かないことを
美玖は知っていたが足を止めることは出来ない。

”赦して・・・ごめんなさい・・・。”

自らの性癖から招いた失態であることを
美玖は心から悔やんでいた。

”急がなきゃっ!”

どう見繕って考えても、
もう約束の時間は過ぎてしまっていた。

”どうしようっ!!”

東校舎の裏庭に
たどり着いたときには
既に約束の時間を1分ほども過ぎていた。

「はぁっ、はぁっ、はぁっ、
  ご、ごめんなさい・・・。」

息を切らせながら、
美玖の謝る視線の先には
腕を組んだ圭子と由美の姿があった。

「遅かったわね、
 早く、こっちきなさいよっ、美玖っ!!」

「待ちくたびれたわ!
 図体ばっかりでかくて、
 ほんと、ぐずねっ!!」

「は・・はいっ・・・申し訳ありません。」

まだ一年生新入部員の二人に呼び捨てにされ
罵倒される憤りを堪えながら、
美玖は校舎を背に
二人に挟まれるように立った。

それ以上に息が切れていた、
約20分の間、全力疾走をしてきたのだ。

「はぁはぁはぁはぁはぁはぁはぁ・・・」

息を整えようとする美玖の目の前に
由美が立った。

「おはようっ!美玖っ!」

185cmの美玖を見上げながらも
由美の顔には美玖を見下す表情が現われていた。

「はぁはぁはぁはぁ・・
 お・・おはようございます・・・
 由美さ・由美様・・・はぁはぁはぁはぁ。」

「私には挨拶無しなのっ!?」

「はぁはぁはぁはぁ・・
 す、すみませんっ!
 そんなつもりは・・・
 おはようございます、け・・圭子様っ!
 はぁはぁはぁはぁ・・・」

美玖に憧れて
二人がバレーボール部に入部してきたと
眼を輝かせていたのはつい2週間ほども前のことだった。

それが今では、
楽しい玩具を見つけた子供の目の様な
別の輝きを見せていた。

”ああ・・
 なんでこんなことに・・・。”

今更後悔をしてもどうしようもないことは
美玖にも判っていた。

”今は、何とか言うことを聞いて・・・
  画像を処分してもらわないと・・・。”

まだ高校生といえども
幼い二人の表情を見つめながら美玖は思った。

「1分、遅刻ね、約束通り、
  あんたの恥ずかしい画像を
   配信しちゃったわ!」

「え・・・?」

美玖は一瞬耳を疑った。

”ま・・まだ、
 遅刻っていっても、
 1分そこそこじゃない・・・。”

画像を送っているわけはない、
謝罪をすれば何とかなるであろうという
淡い期待は破られていた。

「はぁはぁはぁはぁはぁ・・、
 な・・何でっ・・・そんなことっ!
  はぁはぁはぁはぁ・・・。」

「何でって、当たり前でしょっ
  約束を守れなかったんだもん。」

「・・・・・・・。」

『破約の報い』

然も当然とばかりに
胸を張ってうそぶく由美の言葉に
美玖の自分の意識が真っ白になっていくのを
感じた。

「しょうがないわよね・・・。
  あははは・・・。」

圭子の渇いた
笑い声を聞くや否や、
美玖は由美に向かって
大きく足を踏み出していた。

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リハビリ終了・・・。

久しぶりすぎて設定を
殆ど忘れてしまっていました。

続き作成中。

ふぃが


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よろしくお願いします。

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