2017/04/09
ほんの・・
ついさっきまで
坂井幸絵は勤め先である
哀玩ストアでレジを打っていた。
「こんにちわ、幸絵さん・・元気っ?」
「あっ・・いらっしゃいませっ、五十嵐さん。」
隣町に新しくできたショッピングモールの
煽りを被っていた売り上げが
幸絵の入店以来
月を追う毎に持ち返してきていた。
「元気ですっ!」
「いいわね~っ・・・
新婚さんは幸せそうでっ・・・!?」
「はいっとっても幸せですっ・・・
幸せもお売りしたいくらいですぅっ・・・うふふっ」
「ごちそうさまっ・・・うふふ・・じゃ、またねっ・・」
「はいっ
どうぞ、お気をつけて・・・!
またのお越しをお待ちしていま~すっ・・・!」
清潔感溢れ
24歳になったばかりの若さから迸る
彼女の屈託のない
笑顔と明るさに客も店員も魅了されていた
その彼女を独占し
新婚生活を享受できる夫を羨む男性は
一人や二人ではなかった
「けっ・・・結局・・・
おっ・・・お前はおっ・・俺のこと
ばかっ・・馬鹿にしてやがるんだよっ・・・・・!」
哀玩ストア入店と時期をほぼ同じくして
幸絵は兄と慕った3つ年上の幼馴染と暮らし始めていた。