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幸絵020『幸絵クリスマスの葛藤 幸絵の決心』

そもそも幸絵には
無理だった。

悲哀に暮れている人を
放っておくことが出来る性分ではなかった。

自分の不義理に対して
嫌悪感を覚えたのも幸絵の生まれ持った
その正直さと優しさによるものであることは
言うまでもない。

ケーキ特売の手伝いを
店長にもっときつく強要されることを
無意識に望んでいることを
自分でも気付いていた。

”どうしようっ・・・。”

決して
強要されたわけではないが
店長の困惑した背中に絶えられなかった。

今また自棄になった店長は
自分の立つ瀬が更になくなるような
売り方すらしようとしている。

限界だった。

お手伝いします・・・。


「私・・・
 お手伝いします。
 その代わり、
  途中でも4時半には
   終わらせてください。」

愛する夫を優先したい、
子を宿したい気持ちは何よりも強い。

けれど、幸絵の性分から
店長を放っておくことは出来なかった。

思わず手伝うことを
店長に伝えた幸絵だった。

幸絵が恐れていたのは
時間のけじめができるかどうか、
それが幸絵は不安であった。

それは幸絵の優しさが
裏目に出たときの産物としか
言いようがない。

「終わらせて下さい・・・。」

の言葉は、
店長よりも自分に強く
言い聞かせていた幸絵だった。

-------------------------------------
あとがき

”優しさ”と”優柔不断”は似て非なるもの。
幸ちゃんはまだ、
その強さを持ち合わせていないのです。
難しいところですね。

ちなみに
前回『幸絵019』を抜いても
話は通じる展開になっていますね・・・(笑)。


ふぃがろ

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