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『嘆きのヴィーナス』

『嘆きのヴィーナス』


由美がおもむろにポケットから
スマートフォンを取り出した。

その態度には
美玖が力ずくでそれを奪い取っても平気だと
言わんばかりの姿勢である。

「ほら・・いいの?
 ほら、ほらっ・・・。」

これ見よがしに見せ付ける。

美玖の意識は
ともすれば気を失いそうになるほどの
怒りを覚えていた。

それを奪い取りコンクリートの地面に
叩きつけたかった。

でも、
それをしたなら、その報いとして、
知らぬ誰かがWEB配信をするのは
火を見るよりも明らかである。

「ああ・・、
 ほんと・・・ほんとうに・・・
 お願・・。」

「ああっ、じれったい!!
 5・・・・
 4・・・・。」

必死に食い下がる
美玖の哀願の言葉を遮るようにして
圭子がカウントダウンを始めた。

「あ・・あぁっ
 ま・・待ってっ・・
 待ってくださいっ・・・
 ぬ・・脱ぎますからぁぁっ・・!」

声を荒げれば
人に聞こえてしまう、
けれども圭子のカウントダウンは
停めなければならない。

美玖は咽喉の奥から
押し殺した悲鳴をこぼすと
窓からの視線を出来るだけ
避けるために東校舎の壁に近寄った。

美玖は二人に背を向けたまま
両乳房を抑えていた指先で
今度は乳房の先端を片方づつ弄り始めた。

「ひっ・・ひっ・・うぅっ・・
 ううぅ・・。」

『弄る指先・・・』

喘ぎとも・・
嘆きとも・・
そのどちらとも取れる声を漏らしながら
美玖は丹念に
左右の乳首にその作業を続けた。

「ひうぅっ・・ひうぅぅぅっ・・・。」

涙を溢し
嗚咽を漏らしながら
乳首を弄るその姿は
大きな尻を覆う
汗にまみれた小さな布切れを取り去る未練よりも
余程の執着を感じさせていた。

圭子と由美が
にやにやとその様子を見ながら
声を出さずに顔を見合わせ笑っていた。

背中を見せている
美玖が何をしているか、
見えずともそれが判っていたからである。

「・・・3っ!」

ほんの少しの間、
停めていたカウントダウンを圭子は
再び始めた。

「あ・・あっ・・も、
 もう少しだけっ・・あの・・・。」

「・・・2っ!」

今度は止まらない・・・、
無情に圭子の口から数字が数えられる。

「あああぁっ・・・。」

乳首への作業をしていた
両手を慌てて
大きく張った尻の両脇に置いた。

小さな布切れを肌に滑らすには
およそ必要も無い力を肩に漲らせている
185cmを超える長身は
地中海から現われたヴィーナスの彫像を思わせる様に
汗を輝かせていた。

『嘆きのヴィーナス』

「・・・1っ!」

「んっひぃぃっ・・・・。」

惨めなヴィーナスは
声にならぬ羞恥の嘆き声を漏らし
羞恥に打ち震える大きな尻を晒していくのだった。

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あとがき

圭子さんと由美さん、

もうこれ以上、
美玖ちゃんを
虐めないであげてください。


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