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若妻奴隷坂井幸絵『酒屋の若者』

『酒屋の若者』

参拝客を見込んで作られた
その酒屋は酒の類いの他、
子供向けの菓子や飲み物を置いていた。

古くからそこにあったと見えて
木造家屋が黒ずんだそれは、
この建物の歴史を物語っていた。

「我侭言って、
 申し訳ありませんでした、
 ・・・いいんですか、本当にこれだけで・・。」

幸絵はコーラの代金を渡しながら礼を述べた。

「はい、大丈夫です・・・。
 今度はちゃんと冷やしておきますっ。」

代金を両手で大事そうに受け取りながら
若い店員は頭を下げた。

「・・・でも、やっぱり・・・。」

「・・・・いえ、いいですよ、
 ほんとに・・・。」

少し照れたようなその仕草で
返事をする若者に幸絵は恐縮していた。

長い階段を駆け下りた
幸絵は漸くこの酒屋にたどり着くことが出来た。
今から10分程も前のことである。

「申し訳ありません、・・・いらっしゃいますか?」

古い家屋特有の薄暗さと
ひんやりとした空気が漂っている店内から
返事はなかった。

「すみませーん・・・。」

”さっきはいらっしゃったのに・・・。”

義春と共に参道に登る前に一度訪れ
ここの女将と見られる女性から
コーラ2リットルを2本購入していた。

「ごめんくださあぁい・・・。」

店の奥に声を掛けても
その元気な女性の返事が返事は無かった。

”あぁ・・お留守なのかしら・・・?”

幸絵は焦った。
幸絵自身が約束した住職との
義母の智子の三回忌の時間が迫っている。

夫、義春も必死に
上の階段を登っているはずである。

”お出かけになったのかな?”

タタタ・・

幸絵は軒先から道路に出て
左右を見回したが人の気配はない。
遠くアスファルトが逃げ水を
ゆらゆらと踊らせているのが見えるのみだ。

”ああ、幸絵加虐生殺自在主様・・・”

この炎天下、
階段を上り続けている義春の姿を思うと
幸絵は自然と歯をかみ締めた。

”早くお持ちしないと・・・、
  幸絵加虐生殺自在主様が
   熱中症になられてしまうかも・・・?”

もう一度辺りを見回しても
この酒屋以外にコーラを購入することが出来そうな店はない。

”ああん・・・・。”

タタタ・・

幸絵は再び店内に戻ると、
精一杯の声で叫んだ。

「すみませんっ・・・
 コーラ・・コーラを頂きたいんですが・・・!?」

すると、

ダダダダダ・・・ッ

階段を駆け下りる音が響き、
店の奥からTシャツを着た若者が現れた。
慌てて階段を駆け下りる若者。

「は・・はいっ、
 いらっしゃいませ・・・・。」

慌ててジーパンのファスナーを上げ
ゴム草履を突っ掛けながら
挨拶した若者が
顔を漸く上げたのは
幸絵の目の前に来てからだった。

「ご・・ごめんなさい、
 宜しかったでしょうか・・・?」

若者の慌てた様子に
幸絵が恐縮した。

「あっ・・・い・・いえっ・・!
 だ・・大丈夫ですっ・・はい・・・。」

幸絵のその言葉に驚いたのか、
若者は慌てて返事をして首を振った。

「あの・・冷えたコーラ、御座いますか?
 2リットルサイズのペットボトルを2本頂きたいんですが。」

幸絵は若者の返事を確かめた後、
丁寧に尋ねた。

「えっ・・あっ・・・ああ、はいっ・・・。」

返事をした後
何度も振り返りながら
若者は店の奥手にある業務用の冷蔵庫に向かった。
幸絵の顔を確かめている様子が伺えた。

”・・・・あ・・・あの子・・・。
  え・・あ・・・でも・・・・・?”
 
幸絵の記憶はすこぶる良い。
自分のレジに訪れた客の顔はその殆どを覚えている。

酒屋に誰もいないことに慌てていて
気付かなかった幸絵だったが
その顔は確かに哀玩ストアで見たことのある顔である。

やはり、麻紀同様、
ここ1~2週間のことである。
恐らく隣町スーパーの臨時休業の為に訪れた客だった。

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あとがき
めっきり涼しくなったのに
真夏の話を描いてる。。。
このまま年を越しそうな気がする。
夏が終わらん。。

Badさん
いつもありがとね。
女性のふんどし姿、確かにそのアンバランスさが
眼を惹きます。
近いうちに描くね。
おやすみなさい。

ふぃがろ




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