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若妻奴隷 坂井幸絵 『幸絵の想い』

『幸絵の想い』

幸絵の記憶が正しければ、
麻紀同様、彼が訪れ始めたのは
ここ1~2週間のことである。
恐らく、隣町スーパーの臨時休業の為に訪れた客であろう。

”・・でも、あの子は・・・・?”

「あ・・あれっ・・・、
 あんまり冷えてないや・・・。」

若者は冷蔵庫の前に
屈みこみながら声を上げた。

「もう・・・売れた分だけ
 いつも、補充しておきなっていってるのに・・・。」

どうやら、ここの息子らしい。
留守にした母親に小言を言いながら
奥のほうの2本を取り出し振り返った。

「あの・・ごめんなさい、
 入れたばっかりみたいで
 あ・・あんまり冷えていないみたいです・・・。」

若者は申し訳なさそうに
ちらちらと幸絵の機嫌を伺いながらそれを並べた。

「そ・・そうなんですか・・・?」

つい先程、
ここで購入したばかりであった為に
有るはずと思い込んでいた幸絵の声は上ずっていた。

”どうしよう・・・”

並んだ2本のペットボトルを見つめ
下唇を噛んでいる幸絵に
若者は遠慮がちに呟いた。

「あ・・あの、やっぱり、もっと・・・、
 冷えたのが欲しいですよね・・・?」

「は・・はい・・・、でも・・・。」

若者が冷蔵庫の奥まで
1本1本確かめてくれていたのを
幸絵は知っている。

「じゃ、ちょっと、
 それ貸して頂けますか・・・?」

「え・・・?あ・・・!」

返事の前に幸絵の持ってきていた水桶を
半ば奪うように受け取ると店先に出て水の半分以上を
零してしまった。

ジャバババ・・・

むっと、熱せられたアスファルトの匂いが
店の中まで流れてきた。

「あの・・・何を・・・。」

幸絵は慌てた。
義春と約束していた拷問実験、
”読経前までに水を零さず階段を駆け上ってくること”
を果たせなくなったからである。

「大丈夫っ!」

困惑の様子を隠せない幸絵に
微笑みながら若者は再び早足で冷蔵庫に向かった。

思えば、
中腹の給水所で汲めば良い水を
ここまで持ってきていることの
幸絵の行為が奇妙なことであった。

しかし、おかしな行為と知りながらも
やはり義春との約束は幸絵にとって最重要課題である。

その奇妙な事情を
説明するわけにもいかない。

幸絵は約束を果たすことが出来なくなった
無念な視線を
若者の背中に注ぐしかなかった。

唯、若い店員の”大丈夫”という言葉には
”中腹で汲めば良い”としただけではないことを感じていた。
店員は冷蔵庫の更に奥にある
冷凍庫から四角い氷の塊を取り出してきた。

店先に吊るされていた
白地に赤の文字で”氷”と染め抜かれた暖簾を
幸絵は振り返った。

”・・・え?”

ガツ、ガツ、ガツ・・・

やおら若い店員は
氷と共に持ちだしてきたアイスピックでそれを砕き始めた。

ガツガツガツ・・・

「いつも、これの為にやってるんです・・・。」
そういえば今年かき氷食べてなかった。。。ふぃがろ

若者は幸絵にウィンクしながら
アイスピックを持ったその手でグラスを傾ける仕草をした。

砕かれた氷をザラザラと水桶に入れると
瞬く間に残された生暖かい水に融けていった。
だが、やがてその速度は収まり、
流氷のように水桶の中を姿を留めながら漂い始めた。

一緒に入れた
ペットボトルの表面も白く曇り始めていた。

”ああ・・・。”

義春に冷えたコーラを捧げることが出来そうなことに
幸絵の顔も和らいできていた。

「・・・ごめんなさい、
 スーパーみたいに
 レジ袋とかあれば良かったんだけど・・・・。」

幸絵のその様子を伺いながら若者が呟いた。

「え・・・・?」

幸絵は顔を上げた。

「スーパーのお姉さんです・・よね・・・?」

顔を赤らめながら彼は幸絵に尋ねた。

”ああ・・・やっぱり・・・。”

自らの記憶に
確信を持った幸絵であったが
敢えて気付かぬ振りをして応えた。

「はい・・そうですけど・・・。」

「・・・・。」

笑みを浮かべながら頷く
若者からは間違えているはずはないとの
自信が溢れているようだった。

「いつも、
 ありがとうございます・・・うふっ。」

冷たいコーラが用意できそうな余裕からか
幸絵はストアでの挨拶をした。

「あ・・いえ・・・。」

その笑顔が眩しいとばかりに
若者は視線を逸らした。

「も、もう少しかな・・・?」

ガツガツガツ
慌てて氷を砕き始めた。

”・・・可愛い・・・。”

その若者の仕草に
思わず可愛らしさを覚えた。

”でも、よかった・・・。”

物足りないかもしれないが、
義春に渡す頃には
更に冷却は進むはずである。

冷たいコーラを捧げ
義春の喉を潤し、クールダウンすることが
何よりも優先しなければいけないことである。

そして
幸絵は水を零して(零されて)しまったことも
正直に告げるつもりだった。

”幸絵加虐生殺自在主様には
 絶対嘘をつきたくない・・・。
 隠し事も一切致しません・・・。”
カラーで作りましたが敢えてモノクロだったりする

いつも幸絵が
自分自身に誓っていることである。
身も心も義春に捧げている実感こそが
彼女の気持を充足させることである。

正直に伝え、
折檻を受けることに
その気持が満たされるのを感じていた。

つい先程までの焦燥感が
急激に収束していくのを
幸絵は感じていた。

改めて若者の機転に感謝し、
新たに遮二無二砕いた氷を水桶に
入れているその姿に好意を抱いた。

「ありがとうございました。
 お幾らになりますか・・・?
  氷もたくさん砕いて・・
   入れて下さって・・・。」

幸絵はコーラと共に
氷の代金も支払おうとしたのだが
”冷やしてなかった自分たちが悪い”と
若者は頑として受け取ろうとはしなかった。

「あ・・それも、
 処分しておきますから・・・どうぞ。」

若者は両手を差し出しながら
幸絵が持っていた空のペットボトル2本を受け取ろうとした。

「え・・これは・・・
 いいですよ・・・大丈夫です・・・。」

若者の申し出は嬉しかったのだが、
氷の一件もあり、遠慮した幸絵だった。

「でも、どこかで
 捨てなければいけないでしょ?」

「え・・、それは・・・そうですが・・・。」

「なら、どうぞ遠慮しないで・・・・。」

屈託の無い笑顔で
手を差し出す若者の好意に
幸絵が抗う必要は無い。

「ありがとうございます、
 助かります・・・。」

礼を言いながら
幸絵はペットボトルを渡した。

「いえ・・・どう致しまして。」

親切にするのが嬉しいと見えて
若者は相好を崩し、
それらを受け取った。

”とっても、
  いい子・・・この子、そうなんだ・・・。”

今日とは違う
哀玩ストアで見かける姿とダブらせて
幸絵は若者を見ていた。

”あ・・・いけない・・・・。”

そろそろ義春と約束した
住職の読経の時間が迫っていた。

「では・・あの、
 ありがとうございました。
 また、伺いますね・・・。」

タプン・・・・。
コロコロコロ・・・・。

水桶を持ち、
店先を出ようとした。

「あ・・あの・・。」

「え・・?」

振り返ると
若者が真っ赤な顔をして
幸絵を見つめていた。

「あの、もし、もし良かったらですが・・・!」

「・・・・・?」

若者の問いかけに
幸絵は店内に身体を向き直し
軽く首を傾げた笑顔で問い直した。

「はい・・・何ですか?」

「しゃ・・写真・・、
 一緒にとって下さいせんか・・・?」

「え・・・?」

顔を更に紅潮させた
若者の身体は少し震えていた。

意表をついた申し出であったが
その若者のいじらしさは
幸絵の母性本能をくすぐった。

「はいっ、いいですよ。。。。!
 そんなことであれば。。。。!」

若者の緊張を解く為に
努めて明るく答え微笑んだ。

「やったっ!!」

若者は拳をぐっと握りしめると
それを震わせながら喜びの声を上げた。

「じゃあ・・外で・・・。」

若者に促され店先を出ると、

”あ・・・・”

白い陽光に包まれた景色が
暗い店内に慣れた目を刺激した。

思わず翳した手のひらに当たる
日差しがぴりぴりと
その暑さを伝えてきた。

瞬く間に全身の汗腺が開き
冷却を始めたのが判った。

「この辺りでいいかな・・・。
 でも・・・。」

若者は景色と光の具合を気にして
幸絵の目の前を右往左往していた。

”・・休まず、駆け上っていけば
 まだ、ぜんぜん間に合うし・・・・。”

約束の時間が押し迫っているのが
気になりはしていたのだが、
若者に気取られぬように努めた。

”・・・・ピッピピピ・・・”

携帯電話のシャッター音が鳴った。
「光の具合が・・・」とか若者は呟き、
3~4枚を取り直した。

無邪気に歓んでいる若者の笑顔に
時間がないことを伝えられない幸絵だった。

幸絵さん、少し微妙な笑顔。。。

「ありがとうございます。
 わた・・いえ俺、これ宝にします・・・
 またどうぞ寄ってください。」

満面の笑みを溢して若者が頭を下げた。

「いえっ・・こちらこそ・・・
 どうぞ、またストアにもいらして下さい。」

幸絵も頭を下げた。

「は・・はいっ・・・。」

「では・・失礼します。」

幸絵は酒屋を後にした。

小走りに山門をくぐり
幸絵の後姿が見えなくなるまで
見送った若者は
飛散した机の上の氷の破片をを集め始めた。

「・・・坂井雪絵さん・・・。」

ぽつりと彼は呟いた。

-------------------------
あとがき

雨ですね。。。
窓から眺める景色を愉しみ、
ゆっくりと過ごしたい週末です。。。

Badさん
オペラ見ました。
確かにあまりエッチではないけど、
いろいろな女性の体型があるのだなぁと
改めて関心しました。。。

ではでは。。。。


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