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拷問虜囚ナディア『聞き遂げられない願い』

『聞き遂げられない願い』


「・・・あ・・あの・・・
 あのゲ・・ゲオルグ様・・・。」

「何だ・・・?」

ナディアはか細い声で鉄格子戸を開け
待っているゲオルグに話しかけた。

「ね・・ほ、
 ほんとに何も知らないんです・・・。
 か・・帰して・・・家に帰してください。
 私、私も・・・
 私のジャンも・・・うぅぅ・・・。」

この小さな町しか知らない
田舎育ちの娘は
知らぬうちに戦争の柵に巻き込まれていた。

彼女にとって
この国の王政が崩れ去ってしまったことも
他所で戦っている国同士のことなども
遠い遠い出来事だった筈だった。

山の麓の小さな家で
幼い頃から兄妹の様に育ち
いつしか愛を育んだ愛する夫との明日が
待っているはずだったのだ。

けれど、
今、こうして自分自身は全裸に剥かれ
夫の行方は判らない。

「わ・・私も、
 私も夫も・・
 学校も・・学校も・・
 そんなちゃんと出てないから
 賢くないです・・・。
 
 だ・・だけど、
 だけど、
 決して・・・
 悪いことはしてません・・・。」

ナディアは涙を浮かべて訴えた。

しかしその訴えを聞く相手は
その涙の光など
その辺りの水溜りの照り返しほどにも
心に響くものではなかった。

「知らない人も
 たっ・・訪ねてきてないですっ・・本当です。
 ああぁっ、
 ほ・・本当に、本当に・・・うあぁぁっ!」

「パルチザンの連中は
 みんな、そんなことを言いやがるっ!
 善良な市民の振りしやがって・・・。」

「ふ・・ふり・・
 ふりなんかじゃないっ・・・ 
 ほ・・本当に・・・
 ぱ・・ぱるちざんっって
 な・・なんですかっ・・・?
 帰して・・・帰してくださいぃぃっ」

鉄格子の中に入れられたら
もうそこから永久に出られないような
感覚をナディアは憶えていた。

「うるせいなっ!
 ここに入りたくないんだったら、
 エリアナや小娘(皇女)どもと
 いっしょのようにしてやろうかぁっ!」

kikitogerarenai

「んぐぅぅぅっ・・・
 あぁぁ・・な・・なんで・・・
 なんで・・・あぁぁ・・・。」

聞き遂げられることのない願いと
やるせない理不尽に
ナディアの身も心も軋むように嘆いていた。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
近況
3個”ちょこ”もろた。

Badさま
確かジャンだったような気がする。
ちがったっけ?わすれちった。

しょぼんぼさま
エリアナさんのこと、
憶えていてくれてありがとね。
いつかきっと描くね。

相互リンクのお知らせ
「牝犬奴隷ちび」さんのサイトです。
http://12243881.blog31.fc2.com/

とてもけなげで可愛らしく素敵です。
これからも宜しくね。

ふぃがろ

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よろしくお願いします。

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