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アスリートマゾ#2 個人練習

アスリートマゾ 香坂美玖
美少女個人練習


『個人練習』

放課後の体育館に美玖の声が響きます。

「ほらっ!ぼやぼやしないっ!由美っ!集中してっ!」

厳しい訓練も憧れの香坂美玖に鍛えられることに
後輩たちは感謝すらしています。

美玖は知久戸西高等○校女子バレー部キャプテンとしての責任を果たす為、
代表チームの練習の僅かな休息日を利用して部活に参加に来ています。

「はいっ!美玖先輩っ!!もうしわけありません!」

忙しい美玖がこうして来てくれることだけでも
後輩たちにはありがたいのです。
だから、美玖の叱咤に後輩達も素直に応えます。
その返事にまた美玖が容赦のないスパイクを浴びせます。

「あ、ありがとうございました・・。」

こうした訓練のお陰で知久戸高は
多分に美玖の個人的な力もあるのは確かですが、
他の部員のレベルも高く、
この地方近隣県の大会では常に優勝を果たし、
最近では全国でも必ずBEST4以内に入るといった実力を持っています。

「お疲れ様でした!ありがとうございました!」

特訓が終わってへとへとになった
後輩達が美玖に挨拶をしていきます。

「はいっ・・・お疲れっ!よくがんばったね・・・。」

練習が終わると美玖はそれまでの厳しい面持ちとは全く違う
優しい表情を浮かべ後輩達に声を掛けて労います。
その優しさと笑顔の可愛らしさも彼女の人気の秘密なのです。

「あ・・・今日もコートはそのまま出しておいていいから・・・、
 あと電気ね・・・。」

「はいっ!わかりました。」


美玖は最近、サーブの練習をしたいとの理由で
時折り、一人居残って個人練習をしています。
電気代がもったいない、集中する為といって、
自分がいるにもかかわらず、
体育館の消灯をさせて後輩たちを帰らせます。
当初、後輩達も、

「じゃあ、私達も残ります。
 球拾いさせて下さい・・・。」

後輩達は体がぼろぼろにも関らず、
美玖に付き合おうとしました。
けれど、

「うん、ありがとう、でも、いいのよ。
 あなたたちの練習はもう終わったんだから・・・。」

「でも・・・。」

「でも・・・じゃなくて・・・、
 うーん、ごめんね、私も一人で集中してやりたいから・・・。
 それに、あなた達勉強もあるでしょ・・、勉強も大事よ・・・。」

「・・・・。」

美玖を慕う後輩達は顔を見合わせます。
その表情に苦笑して美玖は条件を出しました。

「わかった、 じゃあ、その代わり、
 ボールは片付けておくから、
 明日の朝、ネットとポールの片付けだけお願いね。」

「は・・・はい、わかりました。」

優しく諭す美玖の言葉に逆らう訳にもいきません。
集中したいと理由に
後輩たちは不承不承、帰宅をしたものです。
しかし最近では素直に美玖の為になると想い、
挨拶をして帰るようになっています。

そして、約一週間ぶりの部活参加となった今日も
そのことを告げたのです。

「お先に失礼します。」

「失礼しまぁっす。おやすみなさい。」

「おやすみぃっ!気をつけてねっ!」

美玖はコートに一人残り、
帰る後輩達一人ひとりの挨拶に笑顔で言葉を返します。

「じゃあ、私、最後なんで消しまぁす、お先に失礼しまぁす・・・。」

「はぁい、うん、ありがとう、おやすみぃっ!」

バシュ・・・

体育館の照明が落とされ、
グラウンドの照明が窓から差し込んできます。
確かに青白く光るその照明だけで暗くは有りますが、
精神を集中させる為には適した雰囲気になります。

「すーっ・・・。」

美玖はボールを入れた篭からボールを拾い出し、
背中に廻し、美玖特有の精神集中ポーズをとります。
一瞬、目を閉じて、かっと見開き、
ボール所斜め前方に投げ上げ走り出します。
数歩走って、体育館の床を力強く踏み切ってジャンプし、
砕けんばかりの威力でボールを叩きます。

タタタッ!バンッ!バシッ!

ボールは鋭く空気を切ってネットの上すれすれを飛び越し、
そのままドライブカーブを描き、
向こうのコートにすさまじい音で叩き付けられました。

ブァッ・・・シュッ・・・ズバァンッ!!!

ボールは相手コートの上で激しくバウンドした後、
正面の壁に当たり、跳ね返ります。
そして、美玖のいるコート側に転がってまた戻ってきます。

バーン・・・テンテンテン・・・・・・

コロコロコロコロ・・・・

「すーっ・・・」

しかし、既にその頃には美玖は次のボールを篭から取り出し、
精神集中に入っています。

タタタッ!バンッ!バシッ!
ブァッ・・・シュッ・・・ズバァンッ!!!
バーン・・・テンテンテン・・・・・・コロコロコロコロ・・・・

タタタッ!バンッ!バシッ!
ブァッ・・・シュッ・・・ズバァンッ!!!
バーン・・・テンテンテン・・・・・・コロコロコロコロ・・・・

美玖は何度もそれを繰り返します。
やがて後輩達との練習が終わって一旦引いた汗が零れ落ち、
長身の体躯から上気した湯気が昇り始めます。

「はっ・・、はっ・・、はっ・・・、すーっ!」

屋外の照明灯に照らされ、
呼吸を整えコートを見つめる美玖の均整の取れた姿は
ギリシア彫刻のような美しさです。

フッ・・・

個人練習を始めて二十分程度が経ち、
屋外の照明が落とされました。
あとは常備灯と僅かな街灯の
光が漏れこむだけの闇が訪れます。

「・・・終わった・・・。」

美玖は闇の中、すーっと息を吸い込み、

フゥッ・・・

と代表選手の憧れの先輩の真似をして前髪に息を吹きかけました。
パッと一瞬前髪がばらけます。
息を吹きつけたその口元には僅かな微笑が浮かんでいました。

美玖が多忙な時間を割いてまで部活に参加するのは
今からの行為に本当の目的が隠されていたからなのでした。

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