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再会?

『再会?』

「あ・・・
 義春兄ちゃん・・・!」

受験しようとしている高校の下見の帰り道、
幸絵は義春の姿を見かけました。
引越し以来4年ぶりにみた
義春の姿は亡くなった進を思わせる
立派な体格になっていました。

「でも・・変わってない・・うふ・・・。」

幸絵には愛くるしいと
感じとれる丸顔と黒縁めがねは
そのままでした。

「どこ行くのかな・・・?
 久しぶりにお話したいな・・・。」

幸絵の受験しようとしている
この界隈で唯一の進学校である知久土高の
3年生のクラスに義春は通っていました。

幸雄に命じられるがまま
義春にも智子にも逢っていない幸絵です。

けれども、もしこの日、
幸絵が義春の姿を見掛けていなければ
いえ、せめてこの日でさえなければ
きっと二人の人生は
全く異なったものになっていたでしょう。

しかし
そんなことを知る由も無い幸絵です。

今、義春の歩く姿を見て
父を思うが為に封じてきていた
義春と智子に逢いたいという気持ちが
一気に蘇ったのです。

「あれ、お友達かな・・・?」

幸絵の視線の先にある義春は
二人の男子学生と
連れ立って歩いています。

「お父さん、御免なさい・・・
 ちょっとくらい、いいよね。」

引越しの時に言い渡された
父の命令を頑なに守ってきた幸絵でしたが
思春期を迎え
小さな秘密を親に持つことも
覚え始めていました。

多少の後ろめたさを感じながらも
懐かしさに吊られて
幸絵は3人の後についていきました。

やがて幸絵の眼前に
懐かしい風景が拡がりました。

そこは二人が
昔良く遊んだ高野川の河原、
その少し上流でした。

”あ・・河原・・・
 懐かしい・・・何年ぶりかな・・・?”

二人が昔遊んでいた場所からは
2kmほど上流ではありましたが
その雰囲気は殆ど変わりません。

義春と幼い自分が過ごした
楽しかった日々を思い起こしていました。

しかし土手を歩いていくうちに
やがて幸絵はおかしなことに気付きました。

彼らが全く会話をしておらず
義春はただ連れて行かれているだけのように見えるのです。

「ここらでいいだろ・・・。」

男子学生の一人がその言葉と共に
土手を駆け下りてすすきの茂る河原に駆け下りたのです。

「おらっ、降りろよっ!」

もう一人の学生に背中を押され
義春も大きな身体を揺らし
おぼつかない足取りで土手を駆け下りました。

”え・・・?”

思わぬ展開に戸惑いながらも
幸絵も3人に気付かれぬように土手を降りました。
そして息を殺し、
すすきに隠れてその様子を伺ったのです。

義春を囲む
二人の怒鳴り声が聞こえてきました。

「ホラッ!
ヨッチィわかってんだろっ!
 だせよっ・・金っ!」

「あ・・・
 あ・・・き・・きの・・・
 昨日・・・あげ・・・
 あげ・・あげたので・・・
 ぜ・・全部・・全部・・・
 だ・・だから・・・あ・・
 なな・・ないです。」

義春は震える声で答えています。

”義春にいちゃん・・・。”

「ばかやろうっ!
 あれっぽっちで足りるわけないだろっ!?
 ざけてんのかっ?」

ブルッ・・ブルブルブル・・・・っ

怯えている義春は首を
左右に大きく振りました。

「だったら、
 何で今日も持ってこねぇんだよっ!」

「あああ・・
 あれ・・・
 あれが・・・
 こ・・・こんげ・・今月、
 か・・かあ・・・
 母ちゃんから・・・
 も・・貰った・・・
 こ・・こづかい・・・
 ぜ・・全部っ・・・!」

「はぁっ?」

「こ・・高校3年の
 1ヶ月の小遣いが2千円・・・って、 
 なめてんのかっ!?」

「ほ・・・
 ほ・・ほんと・・・
 ほんとなの・・・!
 か・・・
 母ちゃんから・・うぐ・・・・。」

義春の顔は
既に涙でクシャクシャになっていました。

義春も母の苦労が判っており、
いらないと言う義春の手に

「お腹すいたら
 勉強に集中できないでしょ・・・?」

と無理やり渡す智子からのお金でした。

愛する母が一生懸命に
働いてくれたお金です。

”母ちゃん・・ごめん・・・”

イジメられたくなくて
その大事なお金を渡す自分自身が情けなくも有りました。
智子の想いを裏切るようで
とても辛い行為でした。

「だったら脱いでみろよっ・・・!
 ポケットだけじゃなく、
 パンツも何もかも脱いでよ!!」

義春はズボンのポケットを
裏返しに出し、
中が空っぽであることを示しました。

「ほらっ・・
 パンツの中は・・・。」

「あうぅっ・・」

カチャ・・・カチャ・・・

ベルトを外しズボンを下ろしました。

ズルズル・・・・・

大きなブリーフタイプのパンツを脱ぎ下ろしました。

「ぎゃははははは・・・・・!」

yukie011


「なんだ、あのち○こ!俺の小指よりもちっちぇー!」

「あはっ・・あはっあははははははは・・・・。」

容赦の無い笑い声が川原に響き渡りました。

”い・・・虐められてる・・・
 義春兄ちゃん・・・・
 虐められてるんだ・・・・!”

幸絵は何とか
義春を助けたかったのですが、
助けを呼ぼうにも
周りに人の気配はありません。

幸絵の震える足はそこから
一歩も踏み出すことができません。

”ご・・ごめんね・・おにいちゃん・・・。”

幸絵は風で揺れるすすきの陰に隠れ
ただじっと見つめてるだけしか
出来なかったのです。

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