2ntブログ

スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

寂しい葬儀

それは将来を語り飲み明かした
幸絵の父幸雄と共に終電を待つ
駅のホームでのことでした。

泥酔した進は足を踏み外し
通過する貨物列車に轢かれてしまったのです。

すぐ様、
近隣の病院に担ぎ込まれたのですが、
義春を伴い
智子が駆け着けた時には
既に事切れていたのです。

「お・・・俺がついていながらっ!」

幸雄の嗚咽が
病院の廊下に響きました。

「あ・・あなたぁっ!
 あ・・あぁぁっ・・・!」

「と・・とうちゃぁぁん!」

智子と義春も進の亡骸に
縋りつき泣き崩れたのです。

しかし
智子が取り乱したのは
この時だけでした。
駆け落ちをしてきた智子たちです。

頼るべき親戚もありません。
10年以上も
音沙汰の無かった二人に
参列どころか電話の一本も無かったのです。

智子は僅かな蓄えで
気丈に喪主として葬儀を挙げました。

葬儀に参列したのは
幸絵ら家族と
中村工業の若い従業員二人、
そしてアパートの住人達数人だけと
寂しいものでした。

yukie009


それでも毅然とした態度を崩さぬ
喪服姿の智子の美しさは
幸絵にもそして
義春の目にも焼き付けられました。

そして進の四十九日も過ぎた頃
申請した新しい電気部品の
正式特許が下りたのでした。

コメント

非公開コメント

プロフィール

ふぃがろ

Author:ふぃがろ
ふぃがろです。
よろしくお願いします。

最新トラックバック

カウンター

検索フォーム

ブロとも申請フォーム

QRコード

QR