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女牛畜奴 栗原香澄#13 公衆電話

『公衆電話』

テレフォンカードを手に香澄は海岸を歩きました。
 携帯電話が普及した今、公衆電話設置場所は僅かです。
  コンビニ、駅前、レストラン・・・、全て人が集まる場所です。
   出来ればそのような場所に近寄りたくはありません。

香澄は海岸に茂る葦の中から
 町並みを眺めました。
  車通りもあり、歩道を歩く人たちも見えます。
   見つかれば保健所に連絡されて
    哀玩農場に連れ戻される恐怖もありますが、
     今のこの自分の醜い女牛の姿を人に見られることが
      香澄にとってとても辛かったのでした。

M奴露出
asinonaka


葦の奥に隠れ香澄は考えました。
 日中、今の自分のこの姿で公道を移動する
  羞恥に耐えることはできません、
   増してや危険すぎます。

けれども、だからといって
 夜を待って移動したのでは街中に着くのが昼過ぎになってしまいます。
  香澄は悩みました。
   当てどなく歩いて公衆電話を郊外で探すのではなく、
    必ず有ると思われる場所を目指すことが先決です。

その中で香澄が思いついたのは駅に行くことでした。
 香澄がこの街に着いた時、
  駅の表に確かに公衆電話があり、
   駅の周りは駐輪場や駐車場があり
    比較的閑散としています。

”終電が終われば、人の出入りも・・・”

無くなるはずだとの思惑で駅に決めたのです。
 そして問題は移動方法ですが、
  やはり目に着かない様に移動する為には
    下水かどぶ川を上る他はないとの考えたのでした。

知久土川の河口から東に凡そ4km程度の位置を
 遡って行けば街に出るはずです。
  思い立つと香澄は葦の中から出て
   再び海岸沿いを歩き始めました。

”はぁ・・はぁ・・はぁ・・はぁ・・”

咽喉が渇きますが水分はペットボトルに残された
 僅かな知久土川の水だけです。
  香澄は街までの移動を考え極力摂取を抑えました。

何本かのどぶ川を越え、
 大凡、知久土川から4kmの位置のどぶ川に差し掛かりました。 
  幅3m程度のそのどぶ川の上流を臨むと
   その両壁は高く、道路沿いに金網が張られており、
    余程のことが無い限りそこを覗き込む人間は
     いないであろうことが予測できました。

香澄はその水かさも10cm程度であることもみて
  そのどぶ川を登ることを決めました。
   上流に上ればきっと街中に出るはずです。
    生臭い匂いも立ち込めてはいますが、
     背に腹は換えられません、
      生きる為にそれを我慢して登り始めました。

”はぁ・・・はぁ・・・はぁ・・・”

足がごみや藻に取られて
  思うように歩くこともままなりませんでした。
   
幸い誰にも見つからないままに日が暮れてきました。
 どれくらいの時間歩いたかも判りませんでしたが、
  どぶ川の底にも差し込む光が
    ビルの照明が多く占めてきたことが
     香澄にも判りました。

ゴトゴトン・・・ゴゴゴゴッゴゴゴゴ・・・・・

地響きのように電車の通る音が聞こえてきました。
 香澄はその音とビルの明かりで
  自分が目的の街中まで来ていることを察知しました。
   そこからまた暫く歩き、鉄橋の真下まで来ました。

この街に降り立った時に見た、
 駅の傍らの公衆電話の姿をどぶ川の中で思い浮かべていました。

ガタタンガタタッタ・・・・・・

汚れ畜奴
dogugawanite


鉄橋を見上げる香澄の目の前を
 電車が通り過ぎていきました。
  もう夜もかなり更けているはずなのですが、
   電車はまだ車窓のある客車です。

香澄は終電が過ぎた後であれば
 駅は無人になるであろうと目論んでいます。
   どぶ川の中でじっと電車が通るたびに
    その様子を伺いました。

数本の電車を見送りました。
 既に貨物列車しか走らなくなっています。
  川の側道に自動車が通ることもなくなっています。
   既にペットボトルの中の川の水は無くなっていました。
    数時間も水分を採っていないために
     また目眩が押し寄せてきています。
      このままどぶ川の中で倒れてしまうことも考えられます。

香澄は意を決してどぶ川のコンクリートの縁を伝い、
 どぶ川の壁を這い登り
  道路に出てからは直ぐに身を屈ませ
   人の気配がないことを確認しました。

酪農と漁業の第一次産業が主産業の
 この街の深夜に人の気配はありませんでした。

香澄は商店街を息を切らせて走り抜けていったのでした。

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