2015/11/27
精一杯な笑顔
ここで
閑話休題
義春くんと
暮らし始めて半年が過ぎた
11月のあの日のこと
勤め先の
ストアの帰り道
忘れ去られた
排泄管理に嘆きながらも
全裸になる
幸絵さんです
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「お、お待たせ・・・
お待たせしました・・・、
幸絵苛虐生殺自在主様ぁ・・・。」
生傷の痕が
痛々しく残っている白い肌を
初冬の陽に晒す
幸絵の愛しい夫に呼ぶ声は
羞恥心に震えていた
今年は
暖かい冬になるだろうと
ついさっき
勤め先に流れる
ラジオを聞いたばかりであった
けれど
知久土町は
東北北部に港町である
渡る海風は
既に冷たかった
「ああんっ??
はっ・・・鼻ピアスはど、どうしたぁぁっ?!」
その海風よりも
冷たい口調で愛しい夫は
幸絵に凄んで聞く
「え・・・・は・・
はいっ・・・
鼻ピアス・・・っ、
そ・・そうでした・・・
も・・・申し訳ありませんっ・・・・!」
鼻ピアスの言葉に
一瞬のためらいを見せたが
すぐに幸絵は
慌てて自転車に駆け寄りながら
「も・・・
もちろん・・・
幸絵豚はマゾ家畜で
ございますから・・・。」
卑屈な笑顔を
愛しい夫に向けてそう告げた
向き直りそれとは
対照的な神妙な顔つきを以て
前かごの
買い物袋を探る
そしてジャラジャラと
重い金属音を発てて
取り出された
それは
およそピアスとは
程遠い1m弱もある鎖であった
ピアスが
ないわけではない
しかし
それは鎖の両端の
片方に括りつけられていた
幸絵を
躊躇わせたのは
その
小振りな鼻を括るには
大きすぎる
ピアスでもなく
金属の鎖でもなかった
”ま・・・また・・・
は・・鼻血まみれに
なっちゃうかもしれない・・・。”
幸絵は思わず
息を飲む
ずしりと
手のひらを占める
鉄球の重さは2kg以上もある
一旦ピアスで
それを施したならば手で触れることを
禁じられている
つまりは
愛しい夫の許しがない限り
細い鼻柱の
一点で重い鉄球と金属の鎖を
支え続けなければならない
吊り下げただけでも
鼻腔に
激痛が走ることを
幸絵は
先週覚えたばかりである
一歩
踏み出す度に
鉄球が揺れる
鎖を介し
その振動が繊細な
神経の通う
粘膜を擦り上げる
鼻血で真っ赤に
染まる哀れな自分の乳房を
思い起こした
幸絵の手の動きが
鈍るのは致し方のないこと
しかし・・・
「おらぁっっ!
はっ・・早くしろよっ・・・糞豚っ!」
隙かさず
容赦のない声が
怯える幸絵の背中に浴びせかけられた
「は・・・はいっ・・・
申し訳ありませんっ・・・
た・・ただいま・・取り付けますっ・・・!」
振り返りざまに謝ると
躊躇なくピアスのナットを取り外し
先端を鼻の穴に当てた
ブチンッ・・・
”痛っ・・・”
癒えたばかりの傷口が
再び開く感触を慌てた指が得た
しかしここで
手を止めるわけにはいかない
愛しい夫の
期待に応えなければならない
”こ、これ以上・・・
拡げないように気をつけなきゃ・・・。”
両手で
鉄球を支えながら
ピアスの芯を通し抜いた
ナットを再び取り付け
回し留めた
「ふぅぅぅぅっ・・・・。」
目を瞑りながら
息を吐き
幸絵は覚悟を決めた
再び刮目すると
鉄球を持った両手を
ゆっくりそのまま
鎖が伸びきる位置まで下げた
鉄球の
重さを僅かに感じた
そこから
そっと鉄球から両手を離していく
”くうぅぅぅっ・・・・・・
いひぃ・・
い・・いたいよ・・・”
焼けるような
痛みが鼻腔を駆け抜け
頭の中心にずんと響いた
「はうぁぁぁ・・・っ!」
両耳も
熱い空気が
漏れ出すように痛んだ
”で・・でも・・・
でも・・・・マ・・・マゾだもの・・・
マゾになるんだもの・・・”
そう
自分に言い聞かせ
じっと痛みに
慣れるのを待つ幸絵
”こ・・この痛みが
気持ちよくならなきゃ・・・
いけないの・・・っ
だから・・だから
もう・・・さ・・触っちゃ
いけないのよっ・・・”
どうしたらこの痛みを
心地よく感じることができるのか
それは例え
鼻柱が千切れて
鼻の穴がひとつに繋がろうとも
マゾになるには
それを理解しなければならない
「お・・
お待たせして申し訳ありません・・・
変態マゾ・・幸絵豚
鼻輪を装着できました・・・っ!」
真剣に考える
幸絵は精一杯の笑顔を愛しい夫に向けていた
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
まいさん
ありがとうございました。
いつか幸絵さんが
幸絵さんの思うマゾになれますように
また応援してあげてください。
ふぃがろ
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