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幸絵008『クリスマスの朝早くⅥ』

マゾ豚バランス

”あ・・
  もうストアに行かなくちゃ・・・。
   遅刻しちゃう・・・”
 
既に窓から差し込む
白い光は台所を明るく照らしている

遠く鳴り響く
波の音の向こうには
冬の遅い朝日も
既に顔をのぞかせているだろう

”慌てないように・・
 慌てないように・・”

幸絵はケーキを
両手に持ち
自ら敷き詰めた釘の床を
踏み外さぬように丁寧歩いた

愛する夫が服役中に
指図した通りに
釘の間は4cm間隔となっていた

愛する夫が
水道に用がある場合には
アルミ二ウム製の底を持つ
サンダルが用意されている

ただそれは最近
最近は使われることがない

裸足の幸絵がバランスよく立てば
痛みも分散されるが
少しでも体重配分を間違えれば
足の裏の皮膚をも破る
新婚当初はそれで
床を血に染めたものだった

下半身の緊張が
常に要求される過酷な調理を
幸絵はマゾ妻として
当然のこととして毎日を過ごしている

クリスマスの朝早くⅥの1


”ふう・・・
 落とさずにつけた・・・。”

冷蔵庫の扉を開き、
クリスマスケーキを空けておいた
棚に丁寧に置いた

”でも・・・
 良かった・・・
 クリスマスケーキが間に合って・・・”

幸絵は手作りのクリスマスケーキが
間に合ったことに
ほっと胸をなでおろしていた。

だが一抹の
不安がないでもなかった

クリスマスの朝Ⅵの2


”愛しい幸絵加虐生殺自在主様・・・
 喜んでくださるかしら・・・
 
 もし・・・
 もし・・・
 ご満足頂けたなら・・

 穢れたマゾ汚まんこに
 どうぞ御聖液でお清め下さい・・って
 お願いをさせて頂くの・・・。

 だから、
 どうか・・どうか
 おいしく冷えててくださいね
 ケーキさん・・・”

ケーキが愛する夫に気に入ってもらえるように
そして
ケーキを食べながら
自分がSMに悶え
苦しむ姿を楽しんでもらえることを
望んでいた

なぜならば
愛しい夫の嗜虐性癖の先に
夫の子種がいつか
自分の子宮に注がれることの
期待があったから・・・

幸絵はそれを
切なく祈っていた


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