2008/06/29
ナディア#5 13号室にて
拷問虜囚ナディア#5
拷問『13号室にて』
「はぁ・・・はぁ・・・はぁ・・・。」
ナディアは再び長く冷たい廊下を歩き続け、
13号室の前に着きました。
13号室の扉は閉められているのにも関わらず、
その中から異臭が漂ってきています。
『・・・お便所なのかしら・・・?』
けれど、ナディアが尿意を伝える前に
13号室に向かうことは決まっています。
不思議に思いながらもナディアはゲオルグが
ドアのノブの鍵を外す行為を見つめていました。
ガチャガチャ・・・ガチャン、キィィィ・・・・・・、
扉が開けられた13号室のむっとする異臭は
ナディアたちのいる廊下に流れ込んできました。
「行くぞ・・。」
ドアのノブを押し開きながら話しかけた
ゲオルグの顔が何故か嬉しそうなことにナディアは気が付きました。
ゲオルグの微笑の意味を疑問に思いつつも
ナディアはゲオルグの後に続いて入りました。
中は薄暗くは有りましたが、壁の最上部に何箇所か
地上の光が差し込むような天窓が設けられていました。
「・・・どうだナディア・・・!」
ゲオルグが嬉しそうな声をあげて部屋の中央を指し示しました。
ゲオルグの指差したそこには光が刺し反射している
一枚の絵が飾られていました。
「ほらっ・・・こっちに来てよく見てみろ!」
尿意がつのり、
それどころではないのですが、
逆らうことを避け、
ゲオルグが招き入れるのに応じてその絵を見上げました。
「ああ・・・」
ナディアはその絵を見て小さな驚きの声をあげました。
そこにはこんな異臭がする場所に
は似つかわしくない肖像画が飾られていたのです。
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