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『尻叩き坂道』

『尻叩き坂道』

「・・おいっ!
 ス・・・
 スピードが落ちてきたぞっ!」

パッシィィィン!!

「あっ・・あんっ!
 も・・申し訳ございませんっ!
 はっ、はっ、はっ、はっ・・・」

速度が落ちるたびに
愛する幸絵加虐生殺自在主様が
自転車を”立ちこぎ”する
マゾ豚のお尻を叩いて
気合を入れて下さいます。

尻叩き坂道


『マゾ豚なんだから
 ”もっとお尻を叩いてくださいっ”
 って言ったほうが良いのかな???』

どんな時も
マゾ豚として
愉しんで頂かないと駄目なのに・・・。

パート先で聞いた
涼やかな小川のせせらぐ渓流は
上り坂のまだ向こうです。

あまりの暑さに
せわしく鳴り響く蝉時雨すらも
遠のきかけます。

『せ・・蝉くんに負けないように
 言わなきゃ・・!』

「あっ・・あの、
 ま・・マゾ豚のっ・・お尻を。」

「くそっ・・ったく・・
 ま・・まだかよっ・・・?
 くそっ 急げっ・・・!」

パシィィィン・・・

”叩いてください”のお願いの前に
叩かれてしまいました。

「あっ・・あぁ~ん・・。
 ありがとうございますぅっ・・!」

「あんっ・・
 な・・何がだっ・・?!」

「え・・?」

「な・・何が・・ありがっ、ありがとうなんだっ!」

「え・・あ・・あの
 はぁはぁはぁ・・・あのお尻・・。」

自転車をこぎながら
私は必死に答えようと振り向きました。

「か・・風が来ねえぇっ!」

パシイィィンッ!

「きゃっ・・。」

頬を平手で打たれました。

「あっ・・ああん。
 も・・申し訳ございませんっ!」

暑さに揺らいでいた
まだ、まだ続く
坂道の勾配がはっきりとした視界に収まりました。

幸絵加虐生殺自在主様の気合のおかげです。
頬とお尻がジンジンと響きます。

『ああん、
 もっと叩いて欲しいですっ』

言いたいな・・
けれど、でも、とても、
幸せな我慢です。

でも、もう少しで・・・。

変態家畜妻 残虐拷問実験体 
坂井幸絵

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