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若妻奴隷坂井幸絵 『敬称と卑称』

『敬称と卑称』

境内のある山頂までの階段
その中ほどにある給水所。

人々はここで
口をゆすぎ、水桶に水を貯め
再び、階段を登る。

コーラで多少の落ち着きを取り戻した義春が
今、またこれから
三百段余りもある階段に向かって歩き始めた。

その巨大な壁を思わせる背中、
対照的な足の短さは
余りにも頼りなさげだった。

”ああ・・大丈夫かな・・・?
  あ・・手すり・・・掴まって下さい・・・”

幸絵は愛しいその姿を
不安げに見つめた。

義春は幸絵の期待通りに
階段の手すりに
体重を預けながら登り始めた。

後ろ髪を惹かれる思いの幸絵であったが、
下唇を噛みしめ
踵(きびす)を返した。

”直ぐに冷たいコーラ買って・・・
 戻ってきますから・・・”

心に誓い登ってきた
階段の方向に歩き始めた。

チャプッ・・・チャプッ・・・

幸絵の両手には
花と水桶とハンドバック、
そして空になったコーラのペットボトルがあった。

この給水所の脇にでもそれらを置いて
階段を下ろうと思ったのだが、
それは出来なかった。

義春がそれらを
持って登ろうとしたからである。

他人を信じることが出来ない義春が
智子の為の花が盗まれてしまうことを思うこと、
幸絵に容易にそれを想像させた。

和尚の読経までに
献花が間に合わなくなることを
懸念したのかもしれない。

しかし、
今の義春にそれらを持たせて階段を登らせれば
それこそ熱中症を引起しかねない。

それを告げれば
またもや繊細な義春のプライドを傷つけてしまう。

”ああ・・どうしよう・・・。”

水桶を持とうとしている
義春の姿を見ながら幸絵は悩んだ。

「あ・・あのっ・・幸絵加虐生殺自在主様っ・・・!」

幸絵は咄嗟に叫んでいた。
叫びながら考えていた。

「な・・なんだっ・・?」

その声の大きさに義春が驚き振り向いた。

そして義春を敬称する為に
自ら考えたその名前を呼んだ時、
自らの背中に彫った自分を卑称する言葉を
思いつきその課役を
自分に負わせることを思いついた。

「あのっ・・私・・・
 変態家畜妻幸絵豚はっ・・・
  残虐拷問実験体ですっ・・・!」

「だ・・だから、
 な・・なんだっ・・一体・・・?!」

必死な幸絵の声に
思わず義春は辺りの様子を伺うほどであった。
幸絵さんの背中に彫られた刺青

”残虐拷問実験体”

それは人を信じることが出来なくなっていた
義春の気持を開かせる為に彫った刺青であった。

幸絵はまだ25歳を過ぎたばかりである。

これからの長い余生を思えば
その染み一つない肌に
刻むには余りにも若く無残な文字だった。

「実験・・実験です。
 実験してくださいませ・・・。」

「はぁっ!?」

「私、今から 幸絵豚は
 この水桶いっぱいの御水と全てを
 持って階段を駆けおりて・・・、
 
 和尚様のお経までに・・
 コーラを購入して・・
 必ず、必ず・・駆け戻ってきますっ!」

「な・・なんだっ・・・それっ?
 ちっとも・・おもっ・・面白くねぇじゃなねえかっ!」

当然である。
義春の基準は変態拷問として楽しめるかどうかなのである。

幸絵が恥ずかしい姿を晒し
どれだけ悶え苦しみながら責めに耐え忍ぶのか
それだけが実験の価値である。

対する幸絵は単に義春の身を想い、
水桶を持たさせたくなくて
想いついた言葉である。

「え・・あ・・あの、
 で・・出来なかったら・・・、
 ”拷問懲罰”をおねがいしますっ!」

幸絵の”拷問懲罰”の言葉で義春の表情が変わった。
それ程の意味がその言葉にはあった。 

「・・ふん、そ・・それほど、
 い・・言うなら・・い、いいよっ!行けっ!」

そうして漸く階段に向かったのである。
幸絵は下る階段のふちに辿りつくと
もういちど、後ろを振り返った。

”幸絵加虐生殺自在主様・・・”

十段程登った位置に義春がいた。
既に息が上がっているようだった。

”ど・・どうか、ご無事で・・・。”

愛しい背中を眼に焼き付けると同時に
不意に正面に向き直し、
階段を駆け下り始めたのであった。

-------------------------------------
<あとがき>

だいぶさぼりました。
でも、忙しかったんよ。。。


★bad様
 はい、実は私も汗かきです。
 新陳代謝がよいのかな???
 まだ暑いので気をつけてください。

★エリカ様
 楽しんで貰えて嬉しいです。
 ぜひ、また来てくださいね。

ふぃがろ

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よろしくお願いします。

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