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アスリートマゾ香坂美玖#13 『つらい朝』

『つらい朝・・・』

♪♪♪・・・・・・

「・・・ひっ・・・。」

美玖は携帯電話が奏でる音に跳ね起きました。
 圭子からの電話かと思ったからです。

♪♪♪・・・・

”ち・・・違った・・・。”

けれどもそれは
 美玖が毎朝起床する為にセットした
  アラーム用の選曲したものでした。

いつもはこのお気に入りのその曲を
 ベッドのまどろみの中で聞き、
  心地よく目覚めることができるのですが、
   今日は様子が異なります。

美玖は圭子から要求される
 隠微な姿態を深夜まで
  送り続けたのでした。

圭子の要求を果たした後、
 疲れ果てた美玖は
  そのままテーブルにうつ伏せ、
   眠ってしまったのです。

初冬の朝の部屋の寒さは
 頑健な美玖の身体にも深々と染み渡っていました。
  けれども、
   それ以上に美玖を震え上がらせたのは
    言うまでもない、
     悪夢のような昨日を思い起こさせる
      PCやデジタルカメラ、
       何よりも全裸でいる自分自身の状態でした。

学校での出来事、
 自宅に帰ってからの出来事、
  惨めな一夜の出来事が
   今、美玖の頭の中にまざまざと甦りました。

つらい朝
asa


”ああ・・・行きたくない・・・。”

その頭の中の残像が
 美玖に登校を止めたい気持ちに駆らせます。
  美玖は手を伸ばし、
   既に耳障りとも取れ始めた
    お気に入りの曲を奏で続ける携帯電話の
     演奏停止ボタンを押しました。

朝の光の中に
 雀の声が窓辺に聞こえてくる
  いつもの光景が美玖を包みました。
   けれども
    当の美玖だけが爽やかなこの環境に
     そぐわない状況にあるのです。

何よりも
 自分の身体が異臭を放っていることを
  美玖の敏感な嗅覚が告げていました。
   無意識にいつもの様に
    壁に掛けられた鏡を覗き込みました。

「あぁぁ・・。」

不意に覗いた鏡の向こう側に
 顔に大きくおぞましい文字を書き入れた
  全裸の女がいたのです。

”ううぅ・・・”

打ちひしがられた美玖は
 再びテーブルに
  頭をうつ伏せました。

”・・や・・・休もう・・・。”  

気を奮い起こそうにも
 身も心もどうにもなりません、
  鉛にでもなったような脱力感が
   美玖の全身を襲い続けているのです。

このまま眠りたいとも思ったのですが、
 汚れた身体のままで
  ベッドに入るのは
   匂いフェチを自分自身認める
    美玖にも憚れました。

熱いシャワーを浴びたい・・・、
 浴びて身体の汚れも疲れも少しでも癒したい・・・、
  美玖は鈍重になっている身体を
   やっとの思いで立ち上がらせました。

♪♪♪・・・・・♪♪♪・・・・・

”あああぁっ・・・”

バスタオルを手に取り
 全裸の身体に巻きつけようとしたその時でした。
  携帯電話が着メロを奏で始めたのです。

「い・・・いやぁぁ・・・。」

その着メロが圭子であることに
 間違い無いことを
  痛いほど知り得ている美玖は
   悲痛な声をあげました。
  
♪♪♪・・・・
 
携帯電話は鳴り響け続けます。

”・・・で・・・出なきゃ・・・・
  さ・・・3回以内にっ・・・!”

昨晩の約束を思い出し、
 美玖は3回目をコールし始める
  携帯電話を掴むと
   着信ボタンを押しました。

『・・・ふっ・・・あぶなかったね、
  もう少しで3回コール終わる所だったわね!』 
 
「は・・・はい・・・
  ごめんなさい・・・圭子様。」

『今、どこ・・・、
  もう学校の近くよね・・・?』

時計を見上げると
 いつも美玖が学校近くのバス停に
  着く時刻を少し回っていました。

”・・・もう、こんな時間・・・。”  

思い悩んでいるうちに
 美玖も驚くほどの時間が過ぎていたのです。

『・・・私、
 東校舎の裏にいるの・・・
  早くきてね・・・。』

「あ・・・ご、ごめんなさい・・・。
  あの、まだ私、家に・・・
   今日は・・や・・休ませ・・・」

『はぁぁぁっ?!
  何ふざけたこといってんのっ!?
    早く来なさいよっ・・・!
      あと10分で来なけりゃ
       ばら撒いちゃうわよっ・・!?』

「そ・・・そんな・・・、む、無理ですっ、
  10分だなんてっ!」

美玖の家からは2分ほど歩いた場所にあるバス停から
 15分ほどバスに乗り、
   更にバスを降りた後に
    1分ほど歩かなければなりません。
     ・・・移動だけでも18分は掛かるのです。

『だめぇっ・・・10分!』

「そ・・・そんな、せめて30分、
  いえ、25分でいいですから・・・。」

『ふんっ・・・じゃあ・・20分だけ待ってあげるっ!』

「そ・・・そんなっ!」

『よーいっ、スタートッ!』

「あぁぁっ!
  む・・・無理です・・・!」

『5秒経過・・・・プチッ・・・』

美玖の必死の哀願もむなしく
 圭子に一方的に電話を切られてしまいました。

「いっ・・・いやぁぁっ・・・!」

もう美玖に選択の余地はありません。
 
汚れたままの身体に
 足元にあった下着をそのまま履きました。
  せめて新しい下着をと思ったのですが、
   今更、選んで履き替える時間など、
    あるはずもありません。

”う・・上は、も・・もういいっ!”

ブラをせずに制服を着るのは
 気遅れしましたが仕方がありません。
 
”か・・・顔を、
  何とかしなくちゃ・・・っ!”

大急ぎで着替え終えた美玖は
 鞄とタオルを持ち、
  1階の洗面台に駆け込みました。

ドタタタタタタ・・・

「み・・・美玖ちゃんっ・・・!?」

階段をけたたましい音を立てて掛け降りて来る
 美玖の足音を聞いて
  美玖の母親がキッチンから
   声を掛けてきました。

いつもの香坂家の朝食時間は
 とうに過ぎており、
  父親は出勤をした後でした。

昨夜の様子と
 いつも起こさずとも自分から起きて来る美玖が
  降りてこない懸念を抱きつつも
   様子をみることに両親は決めていたのです。

それでも制服に着替えて
 駆け下りてきた美玖に母親が
  心配の声を掛けるのは当然のことです。
   キッチンから美玖の後に続いて
    洗面台に駆け寄ったのでした。

「み・・・美玖ちゃん、どうしたのっ・・・?
  今日・・・学校・・お休みす・・・」

「こッ・・来ないでっ!」

美玖は洗面台の給湯蛇口を捻り
 大量のお湯がシンクを叩いていました。

ガララッ・・・バンッ!

風呂の脱衣所も兼ねた
 洗面所の扉を美玖は母親の顔も見ず
  激しく閉じました。

額と顎にそれぞれ自ら書いた、
 ”金”の文字と
  ”玉”の文字を見られるわけにはいきません。

「・・・美・・・・美玖ちゃん・・・?」

美玖の母親は
 扉の前に立ち尽くすしかありませんでした。
  その母に申し訳ないと思いつつも
   美玖は溜まったお湯にタオルを漬けて
    洗顔フォームを顔に塗りつけ
     額と顎に刻まれた
      おぞましい文字を擦りました。

”ああ・・・も・・・もう、
  2分過ぎちゃった・・・!

擦り続け渦上に盛り上がる
 泡の中に溶け出す
  マジックの赤い液体を見つめながらも
   刻一刻と時間が過ぎていくのに
    美玖は気が気ではありません。

”ああっ・・は・・・早くしなきゃ・・・”

暖かい濡れタオルを額と顎に強く擦り付けて
 ピンク色に染まる泡をふき取りました。

”だ・・・駄目・・・まだ”

うっすらとではあるけれど
 まだ精液を作る男性器官の俗称が
  読み取れました。

再び、美玖は洗顔フォームを
 塗りつけて擦り始めました。 
 
”あぁぁっ・・・
  も、もうこんな時間・・・!”

既に残り時間は
 15分を回っていました。
  美玖は振り向きざま
   洗面台の扉を開けました。

ガラガラ・・・バンッ!

「キャッ・・!」

ドンッ・・・バタタッ・・・

扉の向こう側で
 様子を伺っていた母親に
  慌てて飛び出した父親似の大柄な美玖が
   思い切りぶつかったのですから
    華奢な身体つきの母親は一溜りもありません。

母親は扉の向かいの壁にぶつかり
 尻餅をつきました。

「あぁぁ・・・。」

「・・・・・!」

泡だらけの額と顎の顔を晒した美玖は
 何か喋ろうものなら
  すぐにも泣き出してしまうと思い
   廊下の床から不安げな顔で見上げる
    母親に声を発することができませんでした。

”ごめんなさい・・・お母さんっ!
  ば・・ばかだ、
   私・・・ばかだ・・・”

このような状態を引き起こしたのは
 もとはいえば
  自分の性癖にあったことに
   美玖は自分を責めました。

ダダダ・・・

哀しい想いに包まれながらも
 美玖はそのまま濡れタオルと鞄を片手に
  もう片方の手の親指で顎を
   中指と薬指で額の泡を擦り続けて
    玄関を走り出て
     そのまま庭の物置の前に回りました。

鞄と濡れタオルを地面に置き、
 スチール製の物置の扉に手を掛けました。
 
ガキッ・・・・

「くっ・・・!」

物置の扉には鍵が掛かっていたのです。 
 美玖の力を持っても開くものではありません。
  美玖は濡れタオルで泡を拭き取ると
   そのままそれを庭に投げ捨て
    片足を持ち上げました。

蹴撃
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「えいっ!!」

バコッバココォォンンン!

美玖は懇親の力を込めて
 物置の扉を蹴破ったのでした。

ガシャシャシャ・・ン!

物置の扉を庭に投げ出し、
 中にあった母親の自転車を引きずり出しました。

”あ・・・あと・・・13分っ!”

母親の自転車に飛び乗りました。
 物置の鍵が掛けられている為
  常には母親も自転車には鍵を掛けてません。

「美・・・美玖ちゃん!」

腰に手を当ててその母親が
 玄関から出てきた時、
  その脇を大柄なその身体には
   小さすぎる自転車に乗った美玖が
    風のように通り過ぎていきました。

ガチャコン、ガチャコン、ガチャコン・・・・

健やかな筋肉を浮かび上がらせる
 美玖の脚力に伸びた婦人自転車のチェーンが
  悲鳴をあげていました。

「美・・・美玖ちゃん・・・ううぅ・・・・。」
 突然の娘の変貌を嘆く母親の
  咽ぶ泣く声が道路に躍り出ようとしていた
   美玖の耳にも届きました。

”ご・・・ごめんなさい・・・・っ!”

美玖は涙を溢れさせ、
 自転車をこいだのでした。

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あとがき

うーん・・・
 まさか物置を蹴破るとは
  玄関飛び出るまで
   私も思いませんでした。

がんばれ美玖ちゃん。。。

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