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服従哀奴ターミ#3 「彷徨」

服従哀奴ターミ
服従
houkou


『彷徨』

新雪の積もる森の中、
喘げば喘ぐほど身体は深く潜っていきます。

「はぁ、はぁ、はぁ、はぁ・・・・。」

”このまま、死んじゃうのかな・・・?”

私の呼吸だけが響く静寂の中で、
ふとそんな考えが浮かびました。

”だめ・・・だめ・・・だめ・・・!”

頭を左右に振ってその考えを否定しました。

ゴツッ・・

その時でした、頭が何かに当たりました。
それは木の根だったのです。
私は不自由な身体を捩じらせ、
木の元まで這いました。
そして木の幹にそって身体をずらしていき始めました。

「んんんん・・・・・。」

手錠が手首に食い込みました。
頭皮が木の表面で擦れ、髪の毛が数本、白い雪原に落ちました。
しかし、それは一瞬に降り積もる雪でかき消されていました。
寒さに張り詰めた肌に凍った樹木の幹はやすりの様に
私の肌を削り上げます。

「ふぅ・・・ふぅ・・・ふぅ・・・・。」

頬を伝う一滴の血が熱く感じました。
けれどもそれも一瞬に凝固し、皮膚を微かに引き攣らせました。
それらの犠牲を払って私は何とか立ち上がることができました。

”い・・・行かなくちゃ・・・”

雪の中でかなり長くもがいていたと思います。
ご主人様との待ち合わせ時刻を過ぎてしまっている
不安に駆られました。
手錠以外身につけているものが無い私に
時間を知る術はありません。

”早く行かなくちゃ”

それを想い私は森を横断することを思いつきました。
森を大回りするよりも約束の場所に行くには
そのほうが距離的にはとても近いのです。

「はぁ、はぁ、はぁ・・・・」

鼻からだけでは足りず
ボールギャグの僅かな隙間からも私は酸素を求めます。

”待っててくださいませ・・・”

次第に深くなる森の雪の中で、
もがき彷徨い続けました。

”こっちでいいはず・・・”

僅かな街灯の光を頼りに
私は感覚の無くなった両足でもがき歩きながら、
ただ、ただ、待ち合わせ時刻を想い、
時間が進むのが遅くなって欲しいと思うのでした。

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