2008/07/12
拷問虜囚ナディア
美女『エリアナ妃』
「・・・ゲオルグ・・・でしたね、
ごめんなさい、驚かせてしまいましたね。」
エリアナ妃はゲオルグに語り続けました。
そして警護役の女にも微笑みながら、
「シモナ、ありがとう、
最近新しい庭師が入ったこと、
宮廷長から聞いております。」
「はい・・そうでしたか。」
シモナと呼ばれた警護役の女はエリアナ妃に頭を下げ
銃を降ろしました。
「・・・最近のお庭、
とっても綺麗で嬉しく思っていました。
貴方でしたか・・・
お礼を伝えようと思っていた矢先だったのに・・・、
ごめんなさい。」
「い・・・いえ、そんな、滅相もない・・・。」
「おいっ!お前、皇太子妃に直接・・・」
直接、口を聞こうとしたゲオルグに
再び、警護役の女・・シモナは胸倉を掴まんばかりに近寄ろうしました。
「シモナ、いいのです。」
シモナを制し、エリアナ妃は言葉を続けました。
「これに懲りずに、これからもがんばって下さいね・・。
もし、仕事が片付かないようだったら、
私の時には居てもいいですよ・・・。」
「は・・・はいっ!あ・・・ありがとうございますっ。」
ゲオルグは自分の回想をナディアに語り続けました。
「あの時の、真っ白に輝いたエリアナ妃の美しかったこと・・・、
優しげな笑顔・・・、俺は忘れねぇ・・・。
あの後、エリオナ妃の姿を見ようと、
エリアナ妃が散歩の日には俺はわざと仕事を遅らせたりしたんだ。
でも毎回だと流石にまずいかと思って・・・
それでも3回に1回にしたんだぜ・・・・。」
ゲオルグは時折、ナディアのほうを向いて得意そうに
エリアナ妃のことを話します。
確かにこんなところにエリアナ妃の肖像画があるのは
不自然ではあるけれど、
ナディアはむしろ何故彼らの昔話をゲオルグが聞かせるのだろう、
それよりも更に
”はやく、おしっこをさせてほしい”
との気持ちがつのってきていました。
でも、ゲオルグは話を続けます。
「・・・でもよ、
エリアナ妃は俺が庭の片隅で片づけする素振りを見せていると
笑顔を浮かべて、
いつも言葉を掛けてくれてたんだぜ・・・。」
肖像画を見上げながらゲオルグはにやついた顔を見せて
語り続けました。
しかし、その後、急に顔を曇らせて・・・
「・・・それから半年も経たない内に
クーデターが起きやがったんだ・・・ペッ・・。」
ゲオルグは顔を伏せて唾を吐きました。
そしてその後、
今度はゆがんだ笑みを浮かべてナディアの瞳を見ながら
語り掛けてきました。
「・・・ふふ、ナディア・・・。
なぜ、エリアナ妃の・・・、
皇太子妃の絵がこんな所にあるか
不思議に思ってるんだろ・・・?」
「・・・え・・ええ・・・。」
「ふ、ふふふ・・・くくく・・・、
そうだろうな・・・、
こんなに臭い地下の一室になんで・・・
飾られているのか・・・?
ぐっふふふふふ・・・わからんだろうな・・・。」
ゲオルグは楽しくてしょうがないとばかりに含み笑いをして
再び絵を見上げました。
「教えてやるよ・・・・、こっちへ来い・・・。」
ゲオルグは皇太子妃の肖像画を一瞥すると、
ゆっくりとその絵が掲げられた柱の裏側に歩いてゆきました。
「ほら、来いよ・・・。」
声を掛けられても動き出せれない
ナディアがそこにいました。
ナディアは言い知れない恐ろしいものがそこにあることを
感じていたのです。
「来いっ・・・!」
しかし、恐ろしい顔で怒鳴りつけるゲオルグの命令に
ナディアは逆らえず、
おぼつかない足で肖像画の裏側に歩みを進めざるを得なかったのでした。