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幸絵031『クリスマスの葛藤 幸絵豚の悲哀』

滝沢からの協力を得たことは
全店員の同意を得たことに他ならない
それは幸絵と室山にとって
大きな意味を持っていた。

「とっ、
 とにかく・・・、
 僕たちの邪魔をしないでくれよっ!」

ここぞとばかりに
店員の協力が得られないと嘆いていた
室山が息巻いた。

「何も
知らなかったくせに・・・困るよっ!!」

室山は幸絵の為に
心砕いていたとばかりにうそぶき
滝沢に詰め寄った。

「幸ちゃんの
 ためだったんだ。
 ゆ・き・ちゃ・ん・のっ!!」

店長の思惑

”て・・店長・・・。”

じりじりと
滝沢に詰め寄り責めるような
室山の口調に
幸絵は気が気ではいられなかった。

唯、幸絵の心配をよそに
彼の本当の目的は実は別の所にあった。

”ケーキの箱が邪魔で
 見えないじゃないか!”

室山の真意は
どさくさに紛れて
半裸の幸絵を覗き込むことにあった。

「わかってるっ?
 滝沢さんっ!!
 ゆ・き・ちゃんっ!! 
 幸ちゃんの為なんだよっ!」

まくし立てる室山の態度に
滝沢の表情が再び険しいものとなり始めたことに
幸絵は気づいていた。

だが滝沢は
怒りを抑えながら尋ねた。

「だ・・だから・・
 何をしたら良いのか、
 聞いているじゃないですか、
 店長・・・。」

滝沢は幸絵を救う為とした
室山に敬意を払い、
”若旦那”という言葉を控えてくれていた。

その心遣いが
幸絵には痛いほどにわかった。

「だから、滝沢さん、
 そうじゃないでしょっ、
 やっぱり、まずは謝罪じゃないの?」

もう少しで見えるぞ・・・。

「大人としてさぁっ!
 そうでしょっ滝沢さん!?」

幸絵の
白肌見たさに駆られて室山は
そんな滝沢の気遣いなどに気づくはずもなく
お構いなしに更に詰め寄った。

”もう少し、
 もう少しで見えるぞ・・・。”

「とにかく、
 まずは謝ってくれよっ!
 そうだろっ?
 それが筋だろっ?!」

詰め寄る室山

室山は幸絵に近づくために
店員たちへの怒りを口実に室山にさらに迫った。

「なっ・・そうだろっ?!
 幸ちゃん!!
 何とか言ってくれよっ
 こいつらのせいで・・・!」

またぐいっと
一歩、滝沢に迫り寄った。

「こ・・
 こいつらって・・
 ”こいつら”って何ですか
 ”こいつら”って・・・!」

幸絵よりも滝沢が反応した。

「謝るべき奴らだからだよっ
 だから
 こいつらと言ったんだっ!
 何が悪いんだっ!?」

「なんで、
 私たちが謝らなければいけないんですかっ・・・!?」

滝沢がとうとう
室山の言葉に怒りの声をあげた。

なんで私がっ!!

「あの・・
 た・・滝沢さん・・・。
 あの・・・」

幸絵は滝沢の怒りが十分できた。

「そ・・そもそも
 あんたたちが勝手に進めたことで
 私たちが迷惑してるんでしょっ?!」

”そう・・・ 
 その通りなんですっ・・・”

「だから、
 何も知らなくて・・・
 僕たちのことを邪魔したんだろっ!?

 あんたの方が
 邪魔なんだよっ!!
 (でかい図体してっ!)」

幸絵に近づくためには
立ちふさがった
滝沢が邪魔もの以外何でもない。

「な・・・
 何ですってっ!?
 やっぱり、
 あんた、そう思ってたんだねっ!?」

「ああ、
 思って何が悪いっ(邪魔だっ、どけよっ!)!」

怒りの為に後退らない滝沢の為に
思うに近づけない
室山の口調も荒れてきた。

「私がいなくなったら
 ・・どうなると思ってんのよっ!?」

滝沢は室山の言葉の意味を
間違ってとらえた。

「あっ・・
 あんたみたいな
 世間知らずな要領が悪いボンボンが
 いる方がよっぽど邪魔なんだよっ!
 若旦那っ・・・
 ちがうか、馬鹿旦那かしらっ!?」

「なっ・・なにぃっ!」

「あら、
 馬鹿旦那じゃなきゃ、
 アホ旦那かしらっ・・・?
 くれぐれも
 この店は潰さないでくださいねっ!?」

滝沢も怒りに任せて
いつも陰で店員たちが口にしていることを
言葉にした。

”ああ・・
  ああ、やめて・・・
 ああ 
  やめてください・・・。”

ああ・・・やめてください

「何をぉぉ・・・?
 い・・いつも、お・・俺っ
 俺の・・おっ俺のこと・・
 ばっ・・馬鹿にしやがって・・・!」

「・・・っ!」

室山が怒りに言葉を詰まらせた時、
幸絵の全身が震えた。

”あああ・・”

ああああああ・・・・・
 
「おっ・・俺が・・
 どっ・・どんな、おっ・・思いで・・・
 が・・がんばっ・・頑張ってきたか・・・っ!?」

室山の声が幸絵の頭に響く。

”あああ・・

 ああ・・
 いっ・・・
 愛しい
 幸絵加虐生殺自在主様っ・・・、

 また幸絵豚はっ・・・
  幸絵豚は・・・・”

いっ・・・愛しい幸絵加虐生殺自在主様っ

「あああああっ・・・!」

幸絵は悲哀に満ちた声を漏らしながら
立ち上がっていた。

わっ・・・悪いのは・・・っ

「わっ・・・
 悪いのは幸絵豚っ・・
 幸絵豚が悪いんですっ。」

喧嘩をしないで下さい・・っ

「ぜっ・・全部・・・
 あ・・頭の悪い幸絵豚のせいなんですっ・・・。

 だ・・
 だから・・ 
 だから喧嘩・・・
 喧嘩しないで下さい・・・

 せ・・責めるなら・・・
 責めるなら
 どうぞ・・・どうぞ
 幸絵豚を

 お責め下さいませ・・・っ
 あああ・・・っ!」

唖然とする二人を前に
幸絵は泣き声を上げていた。

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<あとがき>

すみません、
何とかPCの調子が戻りました。

しかし、幸ちゃん、
大丈夫でしょうかね?


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