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『幸絵の罪』

『幸絵の罪』

いつもならば、
レジが自動で払い出す残金を待つ
僅かな時間でさえも
客との会話を欠かさないない幸絵だった。

しかし、
今日の幸絵は
その気遣いをも全く忘れていた。

買い物客の喧騒で、
気付かれるほどではないが
杉本夫人に
背を向けたまま
小さくため息までもついていた。

それ程に
幸絵の胸は
杉本夫人の言葉に
動揺させられていたのだった。

一緒に暮らし始めてから
一ヶ月余りではあったが
幸絵は夫である
坂井義春の子供を授かるということが
決して容易ではなかったことを感じ始めていた。

”どうすれば・・・
 愛しい幸絵加虐生殺自在主様に
 セックスをして頂けるのかしら・・・?
 
 いえ・・
 マゾは・・
 マゾ豚はどうやったら
 交尾して頂けるのかしら・・・?
 ああ・・
 違う・・違います。”

彼女は首を振った。

マゾ豚の心情

”女性としても・・
 マゾ豚としても・・・
 私が・・
 幸絵豚が至らないから・・・
 ご満足頂けないんです。

 ごめんなさい・・・。
 愛しい幸絵加虐生殺自在主様。”

あたかも
自らの女が
自らのマゾが至らないと
自分を責める幸絵であったが
それは彼女自身の心の逃げ処であることを
幸絵はわざと気づかない振りをしていた。

義春が子作りに・・、
性行為そのものを幸絵に試みない理由が
そんな生易しい自分の至らなさで生じていないことを
当の幸絵が承知していた。

夫義春の心の奥に存在するのは
”怨み”そのものであることを幸絵は知っていた。

それを想うときに脳裏に浮かぶのは
かつて夫が零れる様な
笑顔を送ってくれていた遠い過去のことだった。

『幸絵の罪』

今は夫となった義春のその笑顔は
幸絵が愛した彼の家族の幸福と共に十数年前に消え去っていた。

それを壊してしまったのは
他ならぬ幸絵と幸絵の父、
自分達親娘であることに他ならない。

”ああ・・・
 あの時、私が
 愛しい幸絵加虐生殺自在主様に
 大人しく処女を捧げていれば・・・”

幸絵の罪2

考えまいと
すればするほど
自分たち親娘の罪の深さに
幸絵は切り裂かれる想いにかられる。

故に幸絵は
愛しい夫の幸福を
奪ってしまったことを
幸絵は片時も忘れたことはない。

”ああ・・
 お義母(かあ)様・・・。”

幸絵はその愛しい夫にも
決して打ち明けることの
出来ない秘密をもその胸に宿していた。

”ああ・・・
 お義母さま・・・
 私・・・私・・・
 どうしたら・・・” 

幸絵の罪

幸絵の気持ちが
不安に揺らぐ時
いつも心浮かぶのは義春の母
智子の優しい笑顔だった。

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あとがき

あんぷらぐど様
ありがとうございます。
幸絵さんの可愛らしさを表現したいです。

rantione様
義春君の気持ちに少しでも
幸絵さんへの愛情が芽生えればと想うのですが、
厳しいようです。
応援してあげてください。
がんばれ幸絵さん。

坂井幸絵ファンさん
幸絵さんの過去を少しずつ
明らかに出来ればと想います。
また応援よろしくお願いします。

追記・・・
お話は時間的には
少しさかのぼっています。

前回に引き続き、
義春と暮らし始めて1ヶ月の頃の幸絵さんの話です。

よって以前にご紹介している
「山へのサイクリング」はこの時点から2ヵ月後、
「智子の三回忌」は更にその1ヵ月後、
の話となっています。

これからも宜しければご覧下さい。
よろしくお願い申し上げます。

ふぃがろ


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