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若妻肛虐悲話

『若妻肛虐秘話』

元旦の声も
既に久しい冬の午後
大気を暖めきれない陽は傾き始め
実験ご奉仕は短時間のものになりました

身近な時間は却って
一点に集中された激しさを呼びました

身体を漸く
起こせるようになったのは
陽が繁華街に立つビルに隠れた頃でした

”ご満足、頂けたかしら・・・?”

お庭に愛しいそのお姿は無く
お部屋にお戻りになられてから
既に時間が経っています

後片付けの為の
箒(ほうき)の柄を支えに
立ち上がった時でした

黒潮の香が漂う
この湊町には珍しい
風花が舞い降りてきました

名残惜しげな浅い陽射し
橙色をくすませていく空
飄々と物寂しげに震える枝さえも
その白い乱舞には
ただの引き立て役です

一瞬の暇(いとま)も無く風花は
風に翻弄され
儚げに堕ちていきます

大地に溶けるを由とせず
数メートルを滑りますが
やがてそれも力尽きます

”おまえも
 風花と変わらんよ・・・”

”え・・・?”

ふと気付くと
鴉が一羽
私を見ていることに気付きました

”私は溶けません
 冷たい指先に注がれ
 喉を潤した
 確かに残る温かみも

 羞恥を誘う
 そこの痛みと熱い痺れが
 残っています

 私は失くなるものではありません”

確かな自信を
嘲りの視線に返しました。

”くくく・・
 見ていたよ・・・
 あんなこと・・・
 よくもまあ・・・
 くくくっ・・・”

鴉は黒い光沢のビロードを
全裸の私に見せつける様
羽繕いをしながら嘲りました

”辛いだろ・・?
 哀しくないのか・・?”

”辛くなんてないです
 愛の証ですから・・・”

”くくっ
 あれが愛・・・?
 愛している証か・・・?
 くくくっ・・”

鴉はもう一方の羽に嘴を移し
時折り視線を私に投げ続けます

”そう
 愛を形で示せて幸せなんです”

嘲りに抗い
余裕の笑みを浮かべたのは
私でした
鴉は羽繕いを止めて
私を凝視しました

”強がりはよせっ
 恥かしいんだろっ?
 辛いんだろっ?
 限界なんだよ・・・お前はもう・・・”

”そんなことはありません
 強がりなんかじゃないです・・・
 限界だなんて・・・
 まだ何でも出来ます”

箒を握る指に力が篭りました

”止めとけ・・
 止めとけ・・
 苦しいんだろ?
 悲しいんだろっ?
 止めたいんだろう???
 こんな生活・・?”

kougyakuHiwa

”そんなことないですっ
 一生このままでいいっ
 私、愛されて幸せなんです”

気持ちの昂ぶりを
自分でも感じていました

”くくっ・・そうかぁ?
 本当に
 愛している相手に
 人間はあんなことするのか?
 くくく・・・
 くくく・・・
 本当は
 くくく・・・
 本当は愛されてなんかいないんじゃな・・・”

「貴方になんかに判るはずないわっ!」

思わず叫んだ私の声に
鴉は優雅に
クアァァァッと一声啼き
風花を巻き上げる
冬風に身を投げ出しました

クアッ、クアッ、クアッ、クアッ・・・

鳴き声が
残照の彼方に消えていくのを感じながら
気持ちが萎えないように堪えました

”ほんとに
 強がりなんかじゃない・・・
 ほんとに幸せなんだから・・・”

頬を横に滑る風花の留まりに
涙の伝いを覚えていました
 
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いつの間にか
正月を越えちゃってた

ふぃがろ

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