2013/12/23 幸絵009『クリスマスの哀玩ストアにてⅠ』 ”ありがとうございました! またのお越しをお待ちしております。”幸絵の明るく元気な声が哀玩ストアに響いていた。”あ・・・ 三時五十分・・・。”クリスマスイブのストアはいつもより来客数が多く感じていた。唯、幸絵はそのピークは、過ぎつつあることを感じていた。というのも、買い物客の顔ぶれを見るとそれもクリスマスイブの影響なのか少し、早めに夕食の買出しをしているようだったからである。”あと、 四十分・・・ がんばらなくちゃ・・・”幸絵の今日の勤務時間は早番の午前7時半~午後4時半。この様子なら恐らく午後4時半を回るころには落ち着いてくるだろうが完全には客足が途絶えてはいない中帰宅するのは少し気が引けた”でも、今日は・・・”幸絵は今朝のことを思い出していた。”えっと・・・ ご朝食、ご昼食のこと・・・ 帰宅時間・・・”愛する夫のために伝言板をしたためていた。”ケーキは御夕食の時に 幸絵豚を虐めて頂きながら 召し上がって頂きたいこと・・・。 うーん・・・ あと、何か お伝えしなければ ならないことはあったかしら・・・?幸絵は悩んでいた、それは初めての性交をお願いすることを記載するべきかどうかであった。”うーん・・・と・・。 きゃっ・・・もう時間が無いわ・・・”既に7時を過ぎようとしていた。うん・・・、御聖液様の拝領は直接、お願いしたほうがいいでしょう・・・やはり残虐拷問実験体として耐え抜いたご褒美として・・・うん・・・。”幸絵は悩んだ末、マゾ妻としてあるべき姿を思い起こし子種の拝受することの伝言は控えた。”やっぱり、今日は・・・ 特別な夜になるかもしれないから・・・ ストアの皆さん ごめんなさい・・・ お正月はまたがんばります・・・。”幸絵はストアへの後ろめたさを感じながらも、心は今晩の愛しい夫とのやりとりに思いをはせていた。”ああ・・ 愛しい幸絵加虐生殺自在主様・・ あと、もう少しで終業時間です・・・。 どうか お待ちくださいませ・・・ すぐに帰って 御夕食をお作り致します・・・。”殆どの下作りは昨夜のうちに済ませてある。火を通すことのない野菜や生もののみ新鮮な食材のみを今日購入して帰るつもりだ。「いらっしゃいませっ・・・」料理の段取りを思い描いていても彼女の手はいささかも止まることはなかった。「幸ちゃん、ごめん、 頼みがあるんだけど・・・。」幸絵が振り返るとそこには店長が顔色を変えて駆け寄ってきていたのが目に入った。何か悪い予感がしたが、努めてそれを感じさせないように幸絵は店長に返事をした。「はいっ・・ あの店長、 どのようなご用件ですか・・・?」幸絵はいつもの明るい笑顔を浮かべて店長の言葉を待っていた。